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AIの新規事業で最初に売る業務を決める:上司に出せる1枚の表

AIの新規事業で最初に売る業務は、買い手・入力・納品物を一つずつに絞ると、検収と値付けまで決まります。

この記事の要点

  • 買い手・入力・納品物を一つずつ決め、最初に売る業務を絞る
  • AIで引き受けるなら、買い手が検収できる業務を選ぶ
  • 過去の実例を並べて、検収の条件を先に決める
  • 例外を別の見積もりに分け、値付けは一件単位にする
AIの新規事業で最初に売る業務は、買い手・入力・納品物を一つずつに絞ると、検収と値付けまで決まります。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

最初に売る業務は、買い手・入力・納品物で絞る

A&Aの考え方

AIの新規事業で最初に売る業務は、買い手・入力・納品物を一つずつ決めて絞ります。ここでいう最初に売る業務とは、決まった買い手が一件ずつ受け取り、確かめてから(検収してから)代金を払える仕事の単位のことです。

A&Aの考え方

「AIで営業も問い合わせ対応も事務も引き受けられます」という案では、上司や取締役会に「誰に何を売るのか」と聞かれても一文で答えられません。買い手、受け取る資料、返す物が一つずつ決まると、その一文が書けます。

出典に基づく事実

対話AIを開発する米国のAnthropicは、自社のAIを使う会社の事例を公開しています。その一つが、企業が仕事を任せるAIを作れる北米のサービス、Lindyです。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

事例のページでは、Lindyの開発責任者が、できることが最も多く、しかも最も使いやすい、社員のように仕事を任せられるAIを目指してきた、と話しています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

ページが挙げる使い方の例は三つです。新興のソフトウェア会社は、見込み客探しと最初の連絡文に使っています。業務効率化の道具の会社は、昼夜を問わず届く問い合わせへの最初の対応に使っています。ある経営者は、毎日の報告づくりと予定の調整に使っています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

この記事を書いているAutomate & Augment(A&A)は、この並びをこう読みます。構想は広くても、実際の使い方はどれも、相手と仕事が一つずつに絞られています。

A&Aの考え方

Lindyが広い構想を名乗れるのは、多くの会社に道具として使われていて、何を任せるかは買い手が選ぶからです。新規事業で一から売る側には、その仕組みがありません。広い案のままでは、何を頼むかを相手に考えさせることになり、一回の商談では決まりません。

AIで引き受けるなら、検収できる業務を選ぶ

A&Aの考え方

最初の一業務は、買い手が検収できるかで選びます。検収とは、納品された物を買い手が確かめて受け取ることです。検収できない納品物は、請求もしにくくなります。

出典に基づく事実

Anthropicは2024年12月19日の技術記事で、AIが働く仕組みの作り方をまとめています。その付録は、AIが最も価値を出しやすい仕事の条件を四つ挙げています。会話と作業の両方が要ること、成否の基準がはっきりしていること、結果を受けて直せること、人の監督を組み込めることです。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

例として挙がるのは、問い合わせ対応とプログラムづくりです。問い合わせ対応は、利用者が解決したと認めるかどうかで、成否をはっきり測れるとされています。プログラムは自動の試験で確かめられますが、全体の要件に合うかどうかは人の確認が欠かせない、と記事は書いています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

記事の冒頭には、書かれている道具の状況は2024年12月から多く変わった、という断りがあります。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&Aは、この四つを「請求できる納品物」の条件としても読みます。記事が書いているのは仕組みの作り方で、売る業務の選び方は書いていません。ただ、完了の基準を相手の言葉で書けない仕事は、納品した後に「これで合っているのか」の確認が長引き、直しが無償になりがちです。

A&Aの考え方

反対の考え方もあります。困りごとが最も大きく、単価の高い業務から売るべきだ、というものです。実際、検収しやすいだけの仕事は安く、誰も困っていないことがあります。そこでA&Aは、困りごとの大きい業務を対象に選び、その中から検収できる部分を、最初に売る業務として切り出す順を勧めます。

製作役が記入済みの規格書と未決の項目の一覧を納め、経営者が検収できる範囲だけを受け取る場面

仮想例

たとえば、食品メーカー向けの新規事業を考えます。取引先ごとに様式が違う商品規格書の記入を、AIで請け負う事業です。これは仮の例です。買い手は、発注と検収を決められる品質保証の責任者です。一件ごとの入力は、取引先から届いた規格書です。製品仕様の一覧表は、始める時に一度だけ受け取ります。

仮想例

納品物は、記入済みの規格書と、決めきれなかった項目の一覧です。品質保証の責任者は、これを今の承認手順でそのまま確かめられます。アレルギー表示や法令に合うかどうかの最終判断は対象から外し、相手に残します。

A&Aの考え方

上司に出す1枚は、次の表の6行です。「まだ売れない」の列に当てはまる行が残るなら、その行について業務をもう一段狭めます。

最初に売る業務が売れる形か(A&Aの整理)
確かめること売れる形になっているまだ売れない
誰が買うか発注と検収を同じ役職が決められる「上に聞いてみます」で毎回止まる
何を受け取るか同じ形の資料が、相手の手元にすでにあるこちらが資料を集める所から始まる
何を返すか一件の納品物として名前が付く「業務効率化の支援」としか言えない
完了をどう確かめるか相手の今の承認手順でそのまま確かめられる良し悪しを口頭ですり合わせる
人が残す判断最終の承認と例外の判断が相手に残る全部任せられる前提で話している
値付けの単位一件ごとに請求でき、例外は別の見積もり作業時間の見積もりしか出せない

検収の条件は、過去の実例を並べて先に決める

A&Aの考え方

検収の条件は、品質の基準を言葉で決めるのではなく、過去の実例を並べて、納品の前に決めます。基準を後から決めると、納品後の話し合いが「品質が低い」「十分だ」という感想の出し合いになります。

出典に基づく事実

北米で企業の保険を扱うNewfrontは、福利厚生の質問に答えるAIを探していた時、それまでのAIがうまく答えられなかった顧客の質問を20問そろえていました。同社の技術責任者によると、仕組みを何も変えずに、AnthropicのAIが20問中12問に正しく答えました。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

この結果を見て、同社はAIに任せる範囲を広げた、と事例のページは書いています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

この12問という数は、正しく答える割合の目標にはできません。20問は同社が自分で選んだもので、時期も誤りの中身も公開されていません。AIを売る側が出した事例の説明でもあります。A&Aが借りるのは数ではなく順番です。Newfrontは広げる前に難しい実例を並べ、何を正しいとするかを先に決めていました。

A&Aの考え方

売る側でも同じ順にします。相手が過去に処理した同じ種類の案件を20件ほど出してもらい、そのうち何件が手直しなしで通るべきかを、提案の時に双方で書いておきます。通らない例が多ければ、対象を狭めるか、人が残す判断を増やします。

仮想例

規格書の例では、過去に出した規格書を20件出してもらい、取引先から差し戻されたものと、そうでないものに分けます。差し戻されなかった16件は手直しなしで通ること、差し戻された4件は、差し戻しの理由になった項目が決めきれない項目の一覧に載ることを、検収の条件として書きます。16と4は仮の数です。

仮想例

上司に説明する時も、この20件が材料になります。差し戻された4件をどう扱うかを納品の前に言えれば、失敗がどこで止まるかを示せます。

値付けは一件単位にし、例外は別に見積もる

A&Aの考え方

値段は検収と同じ一件の単位で付け、例外の案件は別に見積もります。納品物に名前が付いていれば、一件ごとに請求できます。作業時間でしか見積もれないなら、売る単位がまだ決まっていません。

A&Aの考え方

例外は、売り始める前に決めておきます。新しい様式の初回、資料が欠けている案件、相手の判断待ちが長い案件は、通常の一件の値段に含めず、別に見積もります。

出典に基づく事実

Anthropicの同じ記事によると、問い合わせ対応をAIに任せるやり方は、解決できた分だけ請求する料金でも成り立つことを、複数の会社が示しています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&Aは、成果の分だけ請求する形は、件数の多い事業で成り立つと考えます。件数が多ければ、難しい案件で出た損を全体でならせるからです。始めたばかりの新規事業は件数が少なく、ならせません。「成功した時だけ請求します」と約束すると、何を失敗とするかを相手が決める余地が残り、無償の直しが積み上がります。

A&Aの考え方

そこでA&Aは、作業時間での見積もりと成果の分だけの請求の間の形を勧めます。通常の一件は定額にし、例外は別に見積もり、検収は先に決めた実例で確かめます。相手は費用を読めて、売る側は例外にも値段を付けられます。上司には「一件いくらで、例外はいくら」と一行で説明できます。

A&Aの考え方

確認と直しにかかる時間を一件の採算にどう入れるかは、別の記事「低単価サービスの採算は、AIの速さより人が対応する回数で決まる」で扱っています。

まとめ

経営者が候補の業務から1つだけを選び、買い手・入力・納品物で絞り、製作役が引き受けるのを待つ場面

A&Aの考え方

最初に売る業務は、買い手・入力・納品物を一つずつ決めて絞ります。

A&Aの考え方

選ぶのは、買い手が今の承認手順で検収できる業務です。

A&Aの考え方

検収の条件は、過去の実例を20件ほど並べて、納品の前に決めます。

A&Aの考え方

値段は一件の単位で付け、例外は別に見積もります。

AIの新規事業で最初に売る業務は、買い手・入力・納品物を一つずつ決めて絞り、買い手が今の承認手順で検収できるものを選びます。検収の条件は過去の実例で納品の前に決め、値段は一件単位で付けて、例外は別に見積もります。

よくある質問

二つ目の業務は、いつ足せばよいですか。

一つ目の業務で同じ相手から二回目の依頼が来て、検収で落ちる理由が同じ種類にそろってから足します。Anthropicの記事も、AIの仕組みはできるだけ単純な形から始め、良くなると示せる時だけ複雑にするよう勧めています。A&Aはこれを、売る業務の数にも当てはめて読みます。

年に数回しか来ない業務でも、この決め方は使えますか。

使いにくい決め方です。実例を20件ほど並べられず、二回目の依頼も見られないからです。毎回入力の形が違う業務も同じです。その場合は、毎回違う形の資料を同じ形に整える作業を、別の商品として考えます。

上司や取締役会には、何を見せればよいですか。

6行の表と、検収に使う20件の実例の分け方を見せます。失敗がどこで止まるかを聞かれたら、差し戻された実例の扱いと、例外を別に見積もる決めごとで答えられます。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. Building effective agents

    Anthropic · 2024-12-19

    確認日 2026-10-22
  2. Lindy empowers teams to scale with AI Agents powered by Claude

    Anthropic · n.d. (no date shown on page)

    確認日 2026-10-22
  3. Newfront modernizes insurance experiences with Claude

    Anthropic · n.d. (no date shown on page)

    確認日 2026-10-22

編集方針

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