メインコンテンツへスキップ
メニュー

自社の規程が変わったら誰がAIを直すか:外注先との保守契約に書く3つ

規程を直すのは自社、AIに反映するのは外注先なので、変更の渡し方と、反映までのAIの動きを保守契約で決めます。

この記事の要点

  • 直す日数より先に、返金規則などAIが従う自社の規程を全部書き出す
  • AIが従う規程の版を外注先に日付で残させ、原本は自社で一つに決める
  • 規程の変更を知らせる役職を自社で決め、外注先にも確かめさせる
  • 変更の反映までのAIの動きは、続ける・確認を促して続ける・止めて人に渡すから選ぶ
規程を直すのは自社、AIに反映するのは外注先なので、変更の渡し方と、反映までのAIの動きを保守契約で決めます。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

直す日数より先に、AIが従う規程を書き出す

A&Aの考え方

自社の規程に従うAIを外注で作るなら、誤りに気づいてから何日で直すかを保守契約に書く前に、AIが従う自社の規程を全部書き出します。自社の規程に従うAIとは、自社の返金規則や人事規則などの文書を根拠に、応対や処理をするAIのことです。

仮想例

たとえば、返金の問い合わせに答えるAIを外注で作り、数か月たったとします。社内で返金の条件を変えましたが、外注先には知らせていません。AIは古い条件で答え続け、苦情で初めて気づきます。

出典に基づく事実

顧客対応のAIを企業に提供する北米のソフトウェア会社 Decagon の事例を、AIの提供元の Anthropic が公開しています。導入した会社は、それぞれ自社の規則や手順に沿って動くAIを使っている、と事例のページは書いています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

顧客の満足度が高い理由には、Claude が複雑な指示や規則に正確に従えることが挙げられています。返金では、AIが手順を案内するのではなく、返金できるかを確かめ、決済の仕組みで返金まで済ませる、と同社の共同創業者は話しています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

この記事を書いている Automate & Augment (A&A) は、この二つの記述を重ねて読みます。規則に正確に従うAIは、規則が古くなっても、古い条件に正確に従います。返金まで済ませる作りなら、誤りは誤った案内ではなく、終わってしまった誤った返金になります。

A&Aの考え方

直す日数の条項が効くのは、誤りに気づいた後です。気づくまでの間、AIは古い条件で処理を終え続けます。だから先に、AIが従う規程を書き出します。返金規則、人事規則、表記の決まり、誰が何を承認できるかの表まで挙げます。

A&Aの考え方

Decagon の事例のページは、規程が変わった時に誰が直すかという契約の話はしていません。ここから先の三つの条項の分け方は、A&A の整理です。

原本は自社で一つに決め、AIが従う版を残させる

A&Aの考え方

一つ目の条項には、書き出した規程ごとに、原本の置き場と、AIが今従っている版と、AIが従う範囲を書きます。

A&Aの考え方

原本とは、社内で正しいとする最新の規程です。その置き場は、自社で一か所に決めます。共有フォルダの決まったファイルか、社内 wiki の決まったページです。「担当者に聞けば分かる」は置き場になりません。

A&Aの考え方

版は、AIが今従っているものを、外注先に納品物の中で残させます。自社が版の番号を付けていなければ、渡した日付と、渡したファイルそのものを保管させます。後で「渡した」「受け取っていない」と食い違った時に、どの版で動いていたかを示せます。

A&Aの考え方

範囲は、AIが従うものと従わないものを分けて書きます。返金規則は含み、現場の判断で出す個別の例外は含まない、といった形です。範囲が無いと、どの文書を変えた時に外注先へ知らせればよいか判断できません。

仮想例

たとえば、返金に答えるAIなら、契約の別紙に次の二文を置きます。実在の案件ではない仮の例です。「本AIが従う規程は、発注者が2026年10月1日に渡した『返品・返金規則』と、本契約の窓口に届いた改訂版に限る。現場の判断による個別の例外と、社内だけで共有する運用メモは含まない。」

出典に基づく事実

ブランドの決まりをAIで保つ仕組みを提供する brand.ai の事例も、Anthropic が公開しています。共同創業者の一人は、前の会社で、決まりをまとめた冊子を代理店が作るのに2年近く待ったと話しています。もう一人は、今のブランドは一度書いたら動かない文書には収まらない、と話しています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

二つのページは、どちらも Anthropic が導入企業の話をもとに書いた事例の紹介で、公開日の記載はありません。

A&Aの考え方

A&A は、決まりの文書は作るのに時間がかかり、作った後も変わっていくものだと読みます。規程が文書になっていない会社では、原本の置き場を指せません。その時は保守の前に、今の運用を書き出して文書にし、社内で認める作業が要ります。外注先に頼むなら、初期の構築として見積もりに入れてもらいます。

仮の例:規程ごとに、変更の渡し方と反映までのAIの動きを埋めた表(実在の会社・案件ではありません)
AIが従う規程 (仮の例)変更の渡し方と確かめ方反映までのAIの動き
返品・返金規則知らせる経路:変更が効く7日前までに、改訂版を外注先の窓口へ。確かめる経路:外注先が四半期ごとに現物を見比べる止めて人に渡す
人事規則 (休暇や社内の手続き)知らせる経路:改訂の時に、人事の担当から窓口へ。確かめる経路:年1回、規程集をまとめて見比べる確認を促して続ける
表記の決まり知らせる経路:随時。確かめる経路:半年ごと続ける
承認の権限表知らせる経路:組織が変わるたびに。確かめる経路:四半期ごと止めて人に渡す
法令に関わる部分知らせる経路:自社か顧問の専門家が、改正を規程の形にして窓口へ。確かめる経路:求めない (外注先は法令の解釈をしないため)止めて人に渡す

変更は自社から知らせ、外注先にも確かめさせる

A&Aの考え方

二つ目の条項には、規程の変更を、自社が知らせる経路と、外注先が確かめに来る経路の二本で渡すと書きます。

A&Aの考え方

自社からの知らせだけに頼ると、知らせが抜けることがあります。返金規則を直すのは経理や顧客対応の部署で、その部署はAIがその規則を読んでいることを知らない場合があります。悪意も怠慢も無い抜けなので、誰かを罰しても減りません。

A&Aの考え方

知らせる経路には、誰が、何で、変更が効く日の何日前までに知らせるかを書きます。知らせる人は、名前ではなく役職で自社が決めます。受け取る側も担当者個人のメールではなく、契約に書いた外注先の窓口にします。担当者が辞めても、経路が残るようにするためです。

A&Aの考え方

何をもって知らせたことにするかも決めます。打ち合わせでの口頭の一言は含めず、改訂した文書そのものが窓口に届いた時を知らせとします。

A&Aの考え方

確かめる経路では、外注先が定期的に現物をもらって見比べます。頻度は規程の変わりやすさで決めます。たとえば返金規則や価格表は四半期ごと、人事規則は年1回です。この確認は有償の保守に含めます。

出典に基づく事実

中小企業向けに人事や給与などの事務の仕組みを提供する Rippling は、分岐を一つずつ組んだ従来の自動応答を、Claude を使うAIに置き換えた、と Decagon のページは書いています。人事や給与の手続きを案内しながら、地域ごとの法令に沿うようにしているとされています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

この例のように、AIが従うものには、自社の規程と法令の両方が入ることがあります。どの法改正がその処理に関わるかを決めるのは、法令の解釈です。そこで、法令に関わる部分は、自社か顧問の専門家が改正を規程の形にして、外注先の窓口に渡すと決めます。外注先は法令の解釈をしない、とも書いておきます。

変更の反映までのAIの動きを、三つから選ぶ

A&Aの考え方

三つ目の条項には、変更がまだAIに反映されていない間にAIが何をするかを、規程ごとに「続ける」「確認を促して続ける」「止めて人に渡す」から選んで書きます。二本の経路があっても、規程の変更から反映までの間は無くなりません。

A&Aの考え方

「続ける」は、古い版のまま応対を続けます。表記の決まりのように、ずれても古い言い回しが残るだけで済む規程に使います。

A&Aの考え方

「確認を促して続ける」は、応対は続け、その規程に関わる答えに「最新の条件は担当者にご確認ください」という一文を添えます。添えた応対は記録に残し、後で影響した件数を数えられるようにします。

A&Aの考え方

「止めて人に渡す」は、その規程に関わる依頼だけをAIの対象から外し、自社の担当者に回します。お金が動く返金や、やり直せない承認に向きます。

A&Aの考え方

どれも選ばずに作らせると、AIは実際には「続ける」で動きます。冒頭の返金の例は、そう決めた結果ではなく、何も書かなかった結果です。

A&Aの考え方

外注先の見比べが予定どおりできなかった時の扱いも書きます。たとえば、四半期の見比べができないまま次の四半期に入ったら、返金規則に関わる処理は「止めて人に渡す」に移す、と書いておきます。

A&Aの考え方

三つ目の条項は、契約の文であると同時に、AIの作りでもあります。「止めて人に渡す」と書くなら、その規程に関わる依頼を見分けて担当者に回す分かれ道を、外注先にAIの中へ組んでもらう必要があります。条文を書くのは自社、作るのは外注先なので、ここがずれやすくなります。

A&Aの考え方

月単位で条件が変わる販促の規則のような規程は、二本の経路でも追いつきません。その場合は、規程をAIの中に組み込まず、自社で直接直せる表としてAIの外に出す方が早いことがあります。

まとめ

A&Aの考え方

直す日数より先に、AIが従う自社の規程を、返金規則から承認の権限表まで書き出します。一つ目の条項で、規程の原本は自社で一つに決め、AIが従う版を外注先に日付で残させます。

A&Aの考え方

二つ目の条項で、変更を知らせる役職を自社で決め、外注先にも定期的に現物を確かめさせます。三つ目の条項で、変更の反映までのAIの動きを、規程ごとに続ける・確認を促して続ける・止めて人に渡すから選びます。

自社の規程に従うAIの誤りは、規程が変わったのにAIに反映されていない間に起きます。直す日数を決める前にAIが従う規程を書き出し、原本の置き場と知らせる役職は自社で決め、外注先には定期の確かめと、反映までのAIの動きを保守契約で求めます。

よくある質問

外注先に確かめる作業まで求めると、保守の費用は上がりませんか。

確かめる作業の分は、有償の保守に入ります。費用がどれだけ変わるかを、A&A は測っていません。外注先が確かめても、自社の作業は残ります。規程の書き出し、原本の置き場と知らせる役職の決定、改訂した文書を外注先の窓口に送ること、定期の見比べに応じること、法令に関わる改正を規程の形にすること、反映までのAIの動きを規程ごとに選ぶことです。

外注先がAIを作り直した時も、同じ条項でよいですか。

別の条項にします。変更の起点が自社の文書ではなく、外注先の作りになるからです。AIを更新した時に、自社で受け入れの確認 (検収) をやり直すかは、「AIの更新で検収をやり直すか:外注先に任せる変更と自社で見る変更」で扱っています。

この三つを契約に書けば、苦情や外注先との揉め事は減りますか。

減るとは言えません。A&A は、更新の経路を書いた保守契約と、紛争や解約の関係を測っていません。三つの条項で決まるのは、規程が変わった時に誰が何をするかまでです。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. Brand.ai uses AI to make brands more human with Claude

    Anthropic · undated customer-story page; no publication or update date shown

    確認日 2026-10-22
  2. Decagon delivers white-glove customer service at scale with Claude

    Anthropic · undated customer-story page; no publication or update date shown

    確認日 2026-10-22

編集方針

← 記事一覧へ