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低単価サービスの採算は、AIの速さより人が対応する回数で決まる

低単価サービスの採算は、AIで作る速さより、注文1件ごとに人が対応する回数で決まります。

この記事の要点

  • 注文1件ごとに、AIで作る工程の外で人が対応する回数を数える
  • 選べる見本と聞く順番を先に決め、直しの往復を減らす
  • 1件の費用に、例外と返金の対応を含める
  • 模擬決済の数字は売上と分け、本番の注文で数え直す
低単価サービスの採算は、AIで作る速さより、注文1件ごとに人が対応する回数で決まります。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

まず注文1件で人が対応する回数を数える

A&Aの考え方

採算を確かめる最初の作業は、注文が1件入ってから出ていくまでに、人が何回対応するかを数えることです。ここで言う低単価サービスとは、1件の値段を低く抑え、件数を重ねて採算を取る定型の商品のことです。AIで作る時間が短くなっても、説明や直しで人が対応する回数が多ければ、値段に見合いません。

出典に基づく事実

この記事を書いている Automate & Augment (A&A) は、2026年8月に自社の試作の記録を公開しました。公開先は、A&A が運営する発信用のアカウント「ハグルミ」です。題材は、店名や写真、地図、連絡先を載せた1ページのホームページを、1万円で売る商品です。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

記録は、この商品を人が作ると採算が合わないと書いています。値段が安いからではなく、人が対応する回数が多いからだという理由です。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

記録は、人が作る場合の工程を8つ挙げています。問い合わせへの返信、発注と入金の確認、要望の聞き取り、デザインの方向決め、制作、直しのやり取り、公開、使い方の説明です。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

このうち、物を作っているのは制作の1つだけです。残りの7つは、説明と待ちと往復です。問い合わせへの返信と要望の聞き取り、直しのやり取りには、相手の返事を待つ時間が入ります。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

待つ間、作り手は別の作業に移れます。ただ、戻るたびに話の途中から思い出し直すことになります。値段と工程の数を釣り合わせる道は2つで、値段を上げるか、人が対応する回数を減らすかだと記録は書いています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

A&Aの考え方

A&A はここから、採算を測る単位を、制作にかかる時間から、注文1件で人が対応する回数に置き直します。1回と数えるのは、返信や確認、直しのように、人がその注文のために手を動かす1回の対応です。

A&Aの考え方

工程ごとに、人が対応するか、何回か、1回に何分かを表にすると、上司や取締役会にも同じ物差しで説明できます。

出典に基づく事実

記録は、決まった形の商品として売るこのやり方が合わない仕事も挙げています。要件が毎回違う仕事、対面での合意や別の決裁者が要る仕事、お金や個人情報、法律が絡む仕事、相手が作りたい物の形をまだ持っていない仕事です。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

こうした仕事で選択肢を減らすと、相手の要望を取りこぼすことになる、と記録は書いています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

見本と聞く順番を先に決め、直しの往復を減らす

A&Aの考え方

人が対応する回数を減らす手は、AIを賢くすることより、選べる見本と聞く順番を先に決めておくことです。注文の入口で決まる物が増えるほど、後から戻る往復は減りやすくなります。

出典に基づく事実

A&A の試作は、どんなデザインでも作る形をやめ、7種類の完成見本から選んでもらう形にしました。以下、この完成見本を型と呼びます。要望の聞き取りも、決まった順番で1問ずつ聞く形にしています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

記録は、これで直しの往復が減ったと書いています。AIが賢いからではありません。選ぶ物が先に見えていると「思っていたのと違う」が起きにくいからだ、という理由です。何回から何回に減ったかは、記録に書かれていません。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

試作では、決済を要望の聞き取りの前に移しました。記録は、この順番の入れ替えが一番効いたと書いています。聞き取りは一番手間のかかる工程です。お金が動く前にそこへ手間をかけると、途中で客が離れた分の手間が無駄になります。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

お金が動く前に聞き取りの手間をかけないよう、経理役と経営者が決済の門を聞き取りの机の前へ移す場面

出典に基づく事実

なお、記録の工程の並びでは、発注と入金の確認が聞き取りより前にあります。前後の比べでは、決済の前の形が「作ったあとに請求する」と書かれています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

A&Aの考え方

工程の並びと前後の比べが食い違うため、人が作る場合に決済がどこにあったかは、記録からは決められません。

出典に基づく事実

ただし、試作の決済は、お金が実際には動かない試験用の決済 (模擬決済) でした。並べ替えの後、人が対応する所は2か所になったと記録は書いています。7種類の型を最初に1回作る所と、流れが止まった時に見に行く所です。どちらも注文1件の流れの外にあり、下の表の「試作で並べ替えた後」の列には人が入っていません。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

AIの Claude を開発する Anthropic は、2024年12月に、AIの仕組みの作り方を書いた記事を出しています。その中で、最も簡単な方法から始め、必要な時だけ複雑にすることを勧めています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

見本と質問の順番を固定するのは、その簡単な側の手です。一方で、本番で決済をどこに置くかは、取消や返金の条件と合わせて決めることです。模擬決済で先に置けたことだけでは、本番の順番は決められません。

A&Aの考え方

下の表は、記録の前後の比べから、注文が入った後の工程を並べたものです。自社で数える時は、工程ごとに人が対応する回数と分数の列を足します。

試作の記録の前後の比べから、注文が入った後の工程
工程人が作る場合試作で並べ替えた後
何ができるか答える人が返信する会話の中でその場で答える
決済作ったあとに請求する聞き取りの前に済ませる (模擬決済)
要望を聞く人が質問を往復する決まった順番で1問ずつ聞く
デザインを決める人が見本を作って見せる用意した7種類から選んでもらう
作る人が作る聞き取った内容を型に流し込む
公開する人が置き場所を用意する作るのと同時に公開先へ置く
使い方を説明する人が説明するページのアドレスと、その後の直し方を送る

1件の費用に、例外と返金の対応を含める

A&Aの考え方

1件の費用は、通常の注文だけでなく、型から外れた注文と返金の対応まで含めて出します。通常の注文だけで平均を取ると、手間のかかった注文が数字から消えるからです。

出典に基づく事実

試作の記録は、型から外れる要望が来た時に、どこで流れが止まり、誰が対応するかを、まだ数えていないと書いています。記録の書き手は、件数が増えれば、その対応が仕事の中心になると見ています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

Anthropic は同じ記事で、問い合わせを一般の質問、返金、技術的な相談に分け、それぞれ別の処理へ回す方法を例に挙げています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

低単価サービスでも、通常の注文と例外を入口で分けると、例外にかかった時間を別に数えられます。例外として数えるのは、型の中で終わらず、人が見に行った注文です。返金や取消の相談も、通常の流れに混ぜずに数えます。

仮想例

たとえば、1件の費用を3つの額の足し算で出すとします。外部のAIサービスの利用料、決済の手数料、人が対応した時間を時給で換算した額です。試作の記録には費用の額が無いので、数字は入れず、項目だけを並べた仮の例にしています。

出典に基づく事実

記録は、7種類の型を作るのは1件ごとではなく、最初に1回だと書いています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

A&Aの考え方

型を作る費用や、型を直し続ける費用は、1件ごとに割りません。月ごとの共通の費用として、別に置きます。1件ごとに割ると、件数が少ないうちは1件の費用が型の費用で膨らみ、人が対応した時間の増減が数字から読めなくなるからです。

A&Aの考え方

件数が少ないうちは、例外の割合を出すより、どんな例外が起き、誰が何分対応したかを1件ずつ残します。その記録を見て、商品の説明を直すのか、対象の顧客を絞るのかを選べます。

模擬決済の数字は売上と分け、本番の注文で数え直す

A&Aの考え方

試作で動いた数字は、売上や利益の実績と分けて扱います。採算を言うのは、本番の注文で数え直してからです。上司や取締役会への説明でも、この2つを同じ表に並べません。

出典に基づく事実

A&A の試作は、本番と切り離した試験用の環境で作られました。記録は、決済は模擬で、実際にお金は動いておらず、実収益はゼロだと明記しています。書けるのは、注文から公開まで通して動く形ができた所までで、売れた実績ではないとしています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

記録は、まだ証明できていないことも並べています。本番の決済で失敗や返金、二重払いが起きた時の扱いは、まだ作っていません。本番の環境も無く、検証で動いたことは本番で動くことの証明にならないとしています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

出典に基づく事実

広告で知らない人が来た時の数字も、測っていません。入口が変われば、入金まで進む人の割合も変わるので、ここは丸ごと分からないと記録は書いています。件数が少なく、1件の違いで割合が大きく動くことも挙げています。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

A&Aの考え方

上司への報告では、試作の数字を「通しで動いた記録」として書き、本番の試行で数える項目とは別の表に置きます。

出典に基づく事実

記録は、すでにある商品を1つだけ選んで、そこだけこの形にするのが早いと書いています。全部を一度に変えると、どこが効いたのか分からなくなるという理由です。

ハグルミ / Automate & Augment ↗

A&Aの考え方

本番へ進むなら、範囲を絞った小さな試行で、例外と返金と問い合わせが何件起き、誰が何分対応したかを数えます。その数字で、続けるか、値段を上げるか、商品の範囲を絞るか、やめるかを決めます。

A&Aの考え方

仕組みが動くことと、商品を続けることは、別の判断です。外部サービスの料金が上がった時に誰が値段を見直すかも、試行の前に決めておきます。

まとめ

経理役が注文 1 件ごとに人が対応した回数を数え、経営者が玉の数から低単価サービスの採算を考える場面

A&Aの考え方

低単価サービスの採算は、注文1件ごとに人が対応する回数で決まります。

A&Aの考え方

選べる見本と聞く順番を先に決めると、直しの往復が減りやすくなります。

A&Aの考え方

1件の費用には、型から外れた注文と返金の対応まで含めます。

A&Aの考え方

模擬決済の数字は売上と分け、本番の小さな試行で数え直してから採算を言います。

低単価サービスを本番へ進めるかは、AIで作る速さでなく、注文1件ごとに人が対応する回数と、例外と返金の対応を数えて判断します。試作の数字は売上と分け、範囲を絞った本番の試行で数え直してから、続けるかを決めます。

よくある質問

低単価サービスでは、人の対応を全部なくさないと採算が合いませんか。

全部なくす必要はありません。A&A の試作でも、型を作る所と、流れが止まった時には人が対応します。減らす対応と、価値や責任のために残す対応を、分けて数えます。

試作で動いた数字は、上司への報告に使えますか。

使えますが、売上の実績とは分けて書きます。模擬決済の数字は、注文から公開まで通して動いたことの記録で、お金が動いた記録ではありません。

どんな商品なら、この数え方が合いますか。

成果物の形が毎回ほぼ同じで、聞くことが先に決まっている商品です。試作の記録は、単価が低く数を売る必要があること、出してから直せることも、条件に挙げています。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. 1 万円のホームページを、人を通さずに納品する仕組みにした話

    ハグルミ / Automate & Augment · 2026-08-30

    確認日 2026-10-24
  2. Building effective agents

    Anthropic · 2024-12-19

    確認日 2026-10-24

編集方針

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