業務ルールをAIに置き換える前に決める、例外の扱いと仕事の範囲
業務ルールをAIに置き換えるときは、残すべき例外を確かめ、仕事ごとに置き換え方と保守の担当者を決めます。
この記事の要点
- 受付ルールが守る例外を、実際の依頼で確かめる
- 仕事ごとに、ルールを残すかAIに任せるか決める
- 判断に使う条件の保存先と保守の担当者を表に書く
全体像図を準備中
目次
理由の分からない例外は残す

A&Aの考え方
業務ルールの条件分岐とは、「特別契約なら担当者へ回す」のように、条件で処理を分ける決まりです。最初にAIへ任せる仕事は、その決まりが守る例外を説明できる範囲から選びます。説明できても安全とは限らず、実際の依頼例で確かめる必要があります。
仮想例
受付の振り分けや見積もりで、継ぎ足したルールが増えているとします。処理の流れを示す図が複雑だからといって全部をAIへ移すと、なぜ残っていたか分からない例外まで消してしまうおそれがあります。
出典に基づく事実
AIを開発するAnthropicは、顧客対応をAIで行う仕組みを提供するDecagonの事例を公開しています。そこで紹介される人事・給与の業務ソフト会社Ripplingは、条件に応じて処理を分ける「決定木」による自動処理を、AIによる案内へ置き換えたとされています。
A&Aの考え方
この記事を書いているAutomate & Augment(A&A)の案は、置き換える前に、例外を設けた理由を担当者と確かめることです。以下の三択と切替表は、小さな会社が自社業務に当てはめるための案です。
仮想例
たとえば、制作会社の見積もり受付を考えます。通常の依頼は営業へ回しますが、以前に特別な納期を約束した顧客は社長へ回すとします。この例は架空で、導入実績ではありません。
仮想例
受付担当者が特別契約の依頼を選び、どの条件で社長へ回したかを説明します。理由が分からない分岐は残し、契約書や過去の依頼を確かめます。AIに処理の分岐を示す図を読ませただけで、その例外が不要だとは決めません。
仮想例
普段の依頼だけでは、特別契約の扱いを試せません。通常の依頼、特別契約の依頼、情報が足りない依頼で、誰へ回すかを確認します。ここで選ぶのは、AIへ任せる候補と、理由を調べるために今の処理を残す部分です。
置き換え方は仕事ごとに選ぶ

A&Aの考え方
ルールを残すか、AIに任せるか、既存の処理をまとめて呼ぶかは、担当者が説明できる仕事ごとに選びます。「受付画面を全部」のような区切りでは、文章を読む仕事と契約条件を確かめる仕事が一緒になってしまいます。
出典に基づく事実
Anthropicは、AIが使う道具の設計に関する記事も公開しています。ここでいう道具とは、AIが必要に応じて呼び出す、情報取得などの操作です。記事では、既存ソフトの機能をそのままAI用の道具にすることを、よくある誤りとして挙げています。特定の仕事に役立つ少数の道具から始めるよう勧めています。
A&Aの考え方
A&Aの案では、画面やファイルの数ではなく、仕事の始まりと終わりで範囲を決めます。「依頼文を読み、追加で確認すべき項目を担当者へ渡す」と言えれば、何を受け取り、どこまで終えればよいかが見えます。
仮想例
先ほどの制作会社の例なら、特別契約の条件は今の処理で確かめます。依頼文を読み、追加で確認すべき項目を挙げる部分は、AIが候補を出し、営業が確かめる形で試します。曖昧な文を読む部分だけを先に移す案です。
仮想例
一方、契約の有無、過去の見積もり、担当者名を調べる処理は、まとめて呼ぶ候補になります。AIが「受付に必要な顧客情報を取得する」と頼むと、既存の仕組みが決まった項目を返す形です。
仮想例
まとめて呼ぶ選択は、ルールをAIの判断に変えることとは違います。中の処理は残したまま、AIからの呼び方をまとめます。途中に必要な確認があるなら、その手前までで区切ります。
仮想例
三択は次の表に並べます。これは制作会社の仮想例で、出典に登場する企業がこの分け方を採ったという意味ではありません。理由が分からない例外がある仕事は、表を埋めてもすぐには切り替えません。
| 仕事の例 | 移行後の扱い | 残す確認 |
|---|---|---|
| 特別契約の条件を確かめる | 既存ルールを残す | 担当者が例外の理由を確認する |
| 依頼文を読み、追加で確認すべき項目を挙げる | AIの下書きで試す | 営業が漏れと読み違いを見る |
| 契約と過去の見積もりを集める | 既存処理をまとめて呼ぶ | 決めた項目がそろうか確認する |
判断に使う条件の保存先と担当者を決める

A&Aの考え方
切替表には、仕事と例外に加えて、判断に使う条件をどこに保存するかと、保守の担当者を書きます。AIへ任せた後も条件は変わります。誰がどこを直すかまで決めて初めて、移行で対応すべき範囲が分かります。
仮想例
特別契約の条件を既存システムとAIへの指示の両方に書くと、片方だけを直すおそれがあります。この例では、正しい条件は既存システムで管理すると決め、AIにはそこへ問い合わせさせます。
仮想例
切替表の一行は「追加で確認すべき項目を挙げる/特別契約は社長へ/AIは候補だけ/契約条件は既存システム/営業担当が確認」のようになります。画面名だけの一覧では、こうした分担を記録できません。
仮想例
試している間は、同じ依頼を今の仕組みとAIの両方に渡して比べられます。ただし、顧客への送信は今の担当者だけが行います。今の仕組みとAIの出力は比較しても、顧客への送信を両方で行うわけではありません。
仮想例
確認するのは、追加で確認すべき項目の漏れ、特別契約を通常扱いした例、担当者の修正時間です。今の受付にかかる時間と比べ、AIの利用料に加えて、確認とルール更新にかかる負担も記録します。削減効果は測るまで分かりません。
仮想例
特別契約を見落とした場合は、AIへの切替を止めて今の受付へ戻します。見落としを調べる人と、修正後に再び試すかを決める人を、社内担当者か外注先の名前で切替表に書きます。
A&Aの考え方
出典に登場するDecagonは、多くの企業へソフトを提供する会社です。自社の既存システムを少しずつ変える場合とは、移行の費用や戻し方が違います。事例の成果の数字を、自社での見込みとして使うことはできません。
A&Aの考え方
今回決めるのは、最初に移す仕事と、その後も残す処理です。外注先の納品物を合格とする条件は、関連記事「AIエージェントかワークフローか:外注の見積書に書かせる検収条件」で扱っています。AIに実行を許す範囲は、「AIに実行まで任せる線引き:金額ではなく、取り消せるかで決める」が関連します。
まとめ
A&Aの考え方
受付ルールが守る例外を、実際の依頼で確かめます。理由の分からない部分は残します。
A&Aの考え方
仕事ごとに、既存ルールを残すか、AIに任せるか、既存処理をまとめて呼ぶかを選びます。
切替表には、判断に使う条件の保存先と保守の担当者を書きます。例外を書き出せたからといって、安全に切り替えられたとは限りません。
よくある質問
条件分岐が何件以上ならAIに置き換えるべきですか?
件数の基準はありません。分岐が多くても、決まった条件を確かめる処理なら残す選択があります。文章の読み取りに困っている仕事を選び、例外の扱いまで確かめるというのが本稿の案です。
古いルールの理由を知る社員がいない場合は?
理由が分からない部分は残して調べます。契約書や過去の依頼を見ても分からなければ、移行対象から外します。AIがもっともらしい理由を説明しただけでは、廃止する根拠になりません。
外注先には最初に何を渡せばよいですか?
現在の処理と、普段の依頼・例外・情報不足の例を渡します。各例で期待する扱いも添えます。分からない例外は未確認と書き、調査を頼む範囲と、AIで試す範囲を分けて相談します。
出典・編集情報
記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。
- Decagon delivers white-glove customer service at scale with Claude
Anthropic · No publication date shown
確認日 2026-10-30 - Writing effective tools for agents — with agents
Anthropic · 2025-09-11
確認日 2026-10-30