顧客名簿の名寄せをAIで:統合の前に本人と確かめる3つの手順
AIが出す重複候補は、本人確認の根拠と残す履歴を決めてから、統合・別人・保留に分けます。
この記事の要点
- AIの重複候補は、統合してよいかを確かめる前の一覧として扱う
- 名前の一致とは別の欄に、本人確認の根拠を書く(例:本人からの転職の連絡)
- 戻せない統合の前に、残す履歴を決めて統合・別人・保留を選ぶ
全体像図を準備中
目次
AIの重複候補は統合の指示ではない

A&Aの考え方
顧客の名寄せとは、同じ人や会社の記録が名簿に何行もあるときに、1つの記録にまとめることです。AIが並べた重複候補は、まとめてよいかを確かめる前の一覧として扱います。
A&Aの考え方
展示会の名刺、問い合わせフォーム、営業担当の表をAIに読ませると、似た行を見つけて並べてくれます。ここまでは速く、手間も減ります。ただ、似た行が並んだことと、同じ人だと分かったことは別です。
出典に基づく事実
顧客管理ソフトのHubSpotにも、重複の候補を示す機能があります。HubSpotのヘルプによると、連絡先では氏名、メール、電話番号、会社名などの値を比べて候補を出します。担当者は2つの記録を見比べ、統合するか、候補から外すかを選びます。
出典に基づく事実
この重複の管理画面には、ProfessionalかEnterpriseのプランと、編集の権限が要るとヘルプは書いています。一括の操作や独自の規則は、Data HubのProfessional以上で使えます。2つの記録を指定して統合する操作は、どのプランにもあります。
A&Aの考え方
候補を出す仕組みと、統合を決める操作が分かれているということです。この記事を書いているAutomate & Augment(A&A)は、この分かれ目を、AIに任せる範囲の線として読みます。AIには候補を出し、比べる材料をそろえるところまでを任せます。統合を押すのは、その顧客を知る人です。
仮想例
たとえば、AIが名簿から40組の候補を出したとします。経営者が全部を見るのではなく、営業担当が自分の顧客の候補だけを確かめます。AIの一覧には、どの項目が一致したかの欄を付けてもらうと、確かめやすくなります。
A&Aの考え方
候補の数が多いと、一覧の上から順に統合したくなります。しかし、一覧に並ぶのは確認待ちの行です。統合してよいかを決めるのは、次の節の根拠がそろってからです。
名前の一致と本人確認の根拠は別の欄に書く

A&Aの考え方
候補の組ごとに書く確認票には、名前が一致したことと、本人確認の根拠を別の欄に書きます。名前が同じでも別の人のことがあり、会社やメールが変わっても同じ人のことがあるからです。
出典に基づく事実
HubSpotは、候補の組ごとに、どれだけ似ているかの点数を付けています。ヘルプでは、独自の規則を作るときに、電話番号や独自のIDのような項目を使うと検出の確度が上がると書いています。
A&Aの考え方
A&Aは、この点数を「似ている度合い」と読みます。同じ人だという証明ではありません。代表電話や共有のメールアドレスは、1つの会社の何人もが使うことがあります。名前と会社が同じでも、それだけでは決まりません。
仮想例
ここからは、確認票の使い方を2つの仮の例で考えます。実在の顧客ではありません。
仮想例
1つ目は、同じ会社に同じ氏名の担当者が2人いる場合です。会社名と代表電話も一致しますが、メールと部署が違います。商談の記録を見ると、話している案件も別です。この2行は統合せず、別人とします。
仮想例
2つ目は、担当者が転職し、会社名とメールが変わった場合です。氏名は一致しますが、会社とメールは食い違います。営業担当が本人から転職の連絡を受けていれば、それが本人確認の根拠になります。連絡の記録が無ければ、確認が取れるまで保留にします。
A&Aの考え方
AIに頼むのは、一致した情報と食い違う情報の欄を埋めるところまでです。本人確認の根拠の欄は、顧客と話した営業担当が書きます。根拠の欄が空のままの行は、統合の対象にしません。
| 確認票の欄 | 同姓同名の2人(仮の例) | 転職した1人(仮の例) |
|---|---|---|
| 一致した情報 | 氏名、会社名、代表電話 | 氏名 |
| 食い違う情報 | メール、部署、商談の案件 | 会社名、メール |
| 本人確認の根拠 | なし(別の人と分かる記録がある) | 本人からの転職の連絡 |
| 残す履歴 | それぞれの記録のまま | 前の会社の商談をどの記録に残すか決める |
| 判定 | 別人 | 根拠があれば統合を検討、無ければ保留 |
統合は戻せないので、残す履歴を先に決める

A&Aの考え方
統合を押す前に、どちらの記録を残すかを決め、1つにまとまる活動履歴と関連する商談を確かめます。
出典に基づく事実
HubSpotで統合すると、2つの記録の活動履歴と、関連する会社や商談が1つの記録にまとまります。項目の値は、基本的に残す側の記録の値が使われます。もう一方のメールは、追加のメールとして残ります。
出典に基づく事実
統合を取り消す操作はありません。ヘルプは代わりに、追加のメールを消し、そのメールで新しい連絡先を作る方法を案内しています。また、統合で項目の値が更新されると、その値に表示される日時は、元の記録にあった日時ではなく、統合を行った日時になります。
A&Aの考え方
このため、表示された日時だけでは、その値がもともといつのものかは分かりません。
出典に基づく事実
一方で、HubSpotで重複の組を却下して候補から外した場合は、14日以内なら取り消せるとヘルプは書いています。ただし、14日の間に記録の値などを変えると、その組は取り消しの一覧に出なくなります。
A&Aの考え方
確認票の別人は、この却下に当たるとA&Aは読みます。別人や保留は後から考え直せます。14日を過ぎても、2つの記録を指定して手で統合することはできます。統合は戻せません。迷う行は統合せず、保留にして、確かめる人と期限を決めます。
仮想例
転職の例で統合を選ぶと、前の会社での商談と、新しい会社での商談が1つの記録に並びます。前の会社の担当を引き継いだ人が履歴を探すとき、どちらの会社の話か分けにくくなります。
A&Aの考え方
そこで、残す履歴を先に決めます。前の会社の商談は前の会社での連絡先の記録に残したいなら、統合ではなく、新しい会社の連絡先として別に持つ選び方もあります。これはA&Aの設計案で、どちらが正しいかは会社の使い方で変わります。
A&Aの考え方
AIに任せた名寄せを試すなら、過去に人が判定した候補を何件か使い、AIの確認票と人の判定を比べる方法があります。食い違った行と、直すのにかかった手間を残せば、AIに任せる範囲を決める材料になります。
A&Aの考え方
名簿が小さく、誤って統合しても困る相手が少ない会社では、ここまでの確認票は重すぎることがあります。その場合も、商談が別の行だけは、統合の前に人が見ます。
A&Aの考え方
AIにどこまで実行を任せるかの考え方は、関連記事「AIに実行まで任せる線引き:金額ではなく、取り消せるかで決める」で扱っています。
まとめ
A&Aの考え方
AIの重複候補は、統合してよいかを確かめる前の一覧として扱います。
A&Aの考え方
名前の一致とは別の欄に、本人確認の根拠を書きます。
A&Aの考え方
統合は戻せないので、残す履歴を決めてから、統合・別人・保留を選びます。
AIの重複候補は、統合してよいかを確かめる前の一覧として扱います。名前の一致とは別の欄に、本人確認の根拠を書きます。統合は戻せないので、残す履歴を決めてから、統合・別人・保留を選びます。
よくある質問
重複候補の点数が高ければ、そのまま統合してよいですか。
点数だけでは統合しません。点数は似ている度合いで、同じ人の証明ではないからです。本人確認の根拠の欄が埋まった行だけを統合の対象にします。
一括で統合する機能は使わない方がよいですか。
使えるプランでも、同じ根拠で確かめられた候補だけに使います。HubSpotのヘルプも、まとめて統合する前に、重複かどうかを確かめ、関連する記録を見て残すべき記録が残るかを確かめるよう書いています。確かめていない候補が混ざる一覧には使いません。
間違えて統合したら、どう直しますか。
HubSpotでは統合を元に戻せません。追加のメールを使って新しい連絡先を作る方法は案内されていますが、A&Aはこれを統合前の状態に戻す方法とは考えません。だからこそ、迷う行は統合せずに保留にします。
出典・編集情報
記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。
- Review and manage duplicate records
HubSpot · Updated 2026-10-23
確認日 2026-11-04 - Merge records
HubSpot · Updated 2026-09-05
確認日 2026-11-04