月次の入金照合をAIで試す:確認用の一覧から始める4つの手順
月次の入金照合は、AIの結果を確認用の一覧にとどめ、確定を担当者に残せば小さく試せます。
この記事の要点
- 最初に試すのは、銀行明細と請求一覧の照合1つに絞る
- AIには照合結果を確定させず、確認用の一覧を作らせる
- 一覧を見て、入金済みにする確定は担当者が行う
- 確認待ちの件数と照合の時間で、続けるか見送るかを決める

目次
試すのは、銀行明細と請求一覧の照合1つに絞る

A&Aの考え方
月次の経理をAIで試すなら、最初は入金照合の1つだけに絞ります。入金照合とは、銀行の明細と請求の一覧を突き合わせ、どの請求が入金済みかを確かめる作業のことです。
仮想例
たとえば、社員20人ほどのB2Bの会社で、経理の担当者が毎月この作業に何時間もかけているとします。照合が終わるまで、社長が見たい月次の数字は固まりません。
出典に基づく事実
ChatGPTのような対話型のAIを作るAnthropicは、AIを使う会社の事例を自社のサイトに載せています。その1つが、北米で急成長中のIT企業向けに会計ソフトを提供するCampfireです。
出典に基づく事実
事例によると、従来の会計ソフトは決まった規則で動く自動化で限界に達し、経理の担当者は手作業に追われていました。そこでCampfireは、ソフトの使われ方のデータと、作業にかかる時間をもとに、AIに取り組む順を決めました。
出典に基づく事実
Anthropicは2024年12月の技術記事で、AIの仕組みを作る時は、できるだけ単純な方法から始めることを勧めています。複雑にするのは、必要になった時だけです。

A&Aの考え方
この記事を書いているAutomate & Augment (A&A) は、最初に試す作業には条件が2つあると考えます。時間がかかっていることと、答えを銀行の明細で確かめられることです。入金照合は、その両方に当てはまります。
A&Aの考え方
決算の作業全体や請求書の作成まで一度に広げると、どこでうまくいったのかが分からなくなります。だから最初は照合1つに絞ります。
A&Aの考え方
用意するのは、会計ソフトから書き出した請求の一覧と、銀行の明細のCSVです。CSVとは、表計算ソフトで開ける形で書き出したデータのことです。
A&Aの考え方
明細には、取引先の名前や金額が入っています。AIのツールに渡す前に、渡したデータがどう扱われるかを、そのツールの利用条件で確かめます。
AIには確定させず、確認用の一覧を作らせる

A&Aの考え方
AIには照合の結果を帳簿に入れさせず、担当者が見るための確認用の一覧を作らせます。一覧に並べるのは、請求ごとの入金の候補と、その候補にした理由、元の明細の行です。
出典に基づく事実
もう1つは、財務のデータに言葉で質問できる対話の機能です。この機能は、どう考えたかと根拠を説明し、作業の過程と元のデータを示します。事例は、こうして根拠と元のデータを示すことを、会計の専門職に欠かせない条件だと書いています。
A&Aの考え方
A&Aは、この条件を小さな会社の入金照合にも当てはめます。AIの答えだけが並んでいても、担当者は正しいかを確かめられません。理由と元の行が横にあれば、1行ずつ見比べて判断できます。
仮想例
たとえば、一覧の1行は次のようにします。請求番号、請求先、期日、請求額の横に、候補にした明細の日付・名義・金額を並べます。最後の欄には「金額と名義が一致」のように、候補にした理由を書きます。
仮想例
名義が違う入金や、請求額の一部だけの入金も出てきます。たとえば、請求先は会社名なのに、明細の名義が担当者の個人名になっている場合です。こうした行は候補のまま残し、理由の欄にどこが違うかを書かせます。
A&Aの考え方
AIに渡す指示も、この一覧の形に合わせます。AIに頼むのは「候補と理由を並べる」までです。そうすれば、AIの答えが間違っていても帳簿は変わりません。
| 入金の行 | 理由の欄(AIが書く) | 担当者がすること |
|---|---|---|
| 金額と名義が請求と一致する入金 | 金額と名義が一致 | 元の明細の行と見比べ、合っていれば会計ソフトで入金済みにする |
| 名義が担当者の個人名になっている入金 | 名義が請求先と違う | 請求先に問い合わせて確かめる |
| 請求額の一部だけの入金 | 金額が請求額より少ない | 請求先に問い合わせるか、次の入金を待つ |
入金済みにする確定は担当者が行う

A&Aの考え方
請求を入金済みにする確定は、AIではなく担当者が一覧を見て行います。AIが作る一覧の役目は、担当者に確かめる順番と手がかりを渡すところまでです。
A&Aの考え方
担当者は、一覧の理由と元の明細の行を見比べ、合っている行だけを会計ソフトで入金済みにします。名義違いや一部入金の行は、請求先に問い合わせるか、次の入金を待つかを担当者が決めます。
A&Aの考え方
金額と名義が一致した行は、理由と元の行を見比べれば済みます。担当者が時間をかけるのは、名義違いや一部入金の行です。
A&Aの考え方
経理の担当者がいない会社では、確定する人を先に1人決めます。社長自身でも、記帳を頼んでいる税理士事務所でもかまいません。
A&Aの考え方
A&Aは、ここで人が確定することが、事例の言う「後から確かめられること」を自社で保つ方法だと読みます。一覧に、確定した人と日付の欄を足しておけば、誰がどの理由を見て入金済みにしたかが残ります。
A&Aの考え方
日本の税務や帳簿の決まりに合うかは、この事例からは分かりません。Campfireの事例は北米の会社とその顧客の話で、日本の決まりには触れていないからです。
A&Aの考え方
A&Aは、海外の事例から日本の税務の扱いを推し量らず、まず顧問の税理士や、使っている会計ソフトの会社に確かめることを勧めます。試すのは、入金済みにする前の確認用の一覧までにとどめます。
A&Aの考え方
また、この事例はAIを提供する側のサイトに載った紹介で、第三者が検証したものではありません。国内の小さな会社で同じように進むかも、まだ確かめられていません。
確認待ちの件数と時間で、続けるか見送るかを決める

A&Aの考え方
1か月試したら、続けるか見送るかを、確認待ちで残った件数と、照合にかかった時間の2つで決めます。確認待ちとは、AIが候補を出したものの、担当者が入金済みにできなかった行のことです。
A&Aの考え方
A&Aは、この「測ってから広げる」考え方を、入金照合を続けるかどうかの判断に使います。測るものは、ふだんの作業から数えられる2つで足ります。
仮想例
仮の数字で見てみます。照合に毎月10時間かかっていた会社で、試した月は確認待ちが3件、一覧の確認を含めて6時間だったとします。
仮想例
この場合、減った4時間に担当者の時給を掛けた額が、AIのツールの月額より大きければ、続ける理由になります。確認待ちの3件は、担当者が請求先に問い合わせて片付けます。
仮想例
反対に、確認待ちの行が多く残り、担当者が明細を一から見直したなら、時間は減りません。その月は見送るか、名義違いの多い取引先を先に整えてから、もう1か月試します。
A&Aの考え方
事例には効果を示す数字も載っていますが、A&Aはそれを自社の目安には使いません。どの期間の、どの会社と比べた数字かが書かれていないからです。自社の目安にするのは、試す前の月の自社の数字です。
A&Aの考え方
会計ソフトの自動照合で大半が片付いている会社なら、残りの数件のためにAIを試すより、見送る方が手間は少ないこともあります。
まとめ

A&Aの考え方
最初に試すのは、銀行明細と請求一覧の照合1つに絞ります。
A&Aの考え方
AIには照合結果を確定させず、確認用の一覧を作らせます。
A&Aの考え方
一覧を見て、入金済みにする確定は担当者が行います。
A&Aの考え方
確認待ちの件数と照合の時間で、続けるか見送るかを決めます。
月次の入金照合は、AIに確認用の一覧を作らせ、入金済みにする確定を担当者に残せば、AIの間違いを帳簿に入れずに試せます。1か月試したら、試す前の月の自社の数字と比べて、続けるか見送るかを決めます。
よくある質問
AIで照合した結果は、日本の税務の決まりに合っていますか。
この記事の事例からは分かりません。事例は北米の会社の話で、日本の税務や帳簿の決まりには触れていません。顧問の税理士や、使っている会計ソフトの会社に確かめます。
会計ソフトに自動で照合する機能がある場合も、AIを試す意味はありますか。
自動の照合で残る行が毎月多いなら、試す意味があります。残った行だけを一覧にして、AIに候補と理由を並べさせます。大半が自動で片付いているなら、見送る方が手間は少ないこともあります。
経理の担当者がいない会社でも試せますか。
試せます。入金済みにする確定を誰がするかを、先に1人決めます。社長自身でも、記帳を頼んでいる税理士事務所でもかまいません。
出典・編集情報
記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。
- Campfire accelerates accounting with Claude
Anthropic · Publication date not stated
確認日 2026-10-27 - Building effective agents
Anthropic · 2024-12-19
確認日 2026-10-27