PDFのデータ抽出をAIで試す:出典ページと空欄を残す4つの手順
PDFのデータ抽出は、転記だけをAIに任せ、自社の書類で項目ごとに比べると試す価値を決められます。
この記事の要点
- AIに任せるのはPDFから台帳への転記だけ。専門の判断は外す
- 抽出した値ごとに、出典のページと空欄の理由を残させる
- 機密でない自社の書類で、AIと人の転記を項目ごとに比べる
- 確認の時間まで足す。時間が減る項目だけ広げる。減る項目が無ければ見送る

目次
AIに任せるのはPDFから台帳への転記だけ

A&Aの考え方
最初に試すなら、AIに任せるのはPDFから台帳への転記だけにします。PDFのデータ抽出とは、届いた書類から品番や金額などの値を抜き出し、表や台帳に写せる形にすることです。
出典に基づく事実
北米で保険の仲介を手がけるNewfrontは、この転記をAIに任せた会社です。AIの開発会社であるAnthropicが、自社のAIを使う顧客の例として紹介しています。
出典に基づく事実
紹介によると、同社は過去の保険金の請求をまとめた書類を、AIで自動で処理しています。書類ごとにPDFの形がそろわなくても、AIが値を抜き出します。古いシステムと新しいシステムの間で人が打ち直していた入力も、なくしました。
出典に基づく事実
同社の共同創業者は、保険の仕事には人の専門性と技術の両方が要ると話しています。決まった作業はAIに任せ、仲介の担当者は助言と込み入った問題の解決に集中する方針です。
A&Aの考え方
この記事を書いているAutomate & Augment (A&A) は、この60%という数字を自社の見込みには使いません。開発元が載せた顧客の紹介で、外の誰かが確かめた数字ではないからです。参考にするのは数字ではなく、AIに任せる作業と人が受け持つ仕事の分け方です。
A&Aの考え方
AIに任せるのは、書類の値を台帳へ写すところまでです。値引きに応じるか、どの品を勧めるかといった専門の判断は、試す範囲に入れません。取引先ごとに書類の形が違う会社ほど、試す意味があります。
値ごとに出典のページと空欄の理由を残す

A&Aの考え方
AIに値を抜き出させる時は、値ごとに、どのページから取ったかと、空欄ならその理由を一緒に出させます。ページが分かれば、確かめる人は書類を最初から読み直さずに済みます。
出典に基づく事実
Anthropicは、自社のAIを仕組みに組み込む開発者に向けて、AIが答えに使った文を元の書類から示す機能を出しています。PDFを文ごとに区切ってAIに渡し、書類から取った答えに元の文の場所を付ける仕組みだと説明しています。
A&Aの考え方
自社で試す時は、使うAIの道具が、値ごとに元のページを示せるかを最初に確かめます。示せない道具なら、値の横にページの番号を書くよう指示し、その番号が合っているかも比べる時に確かめます。
仮想例
たとえば、社員20人の部品商社が、仕入先の見積書PDFから品番・数量・単価・納期を販売管理の台帳へ写しているとします。これは仮の例です。単価の欄が空いていたら、AIに0円と埋めさせず、空欄のまま理由を付けさせます。

仮想例
単価が見積書の後ろのページの表にあれば、AIは単価と一緒に、そのページの番号を返します。確かめる人は、そのページだけを開いて数字を見比べます。
A&Aの考え方
空欄の理由は、書いていない・読めない・食い違うに分けます。書いていなければ仕入先に聞き、読めなければ元の書類を取り寄せ、食い違っていれば新しい版を確かめます。
A&Aの考え方
理由を分けるのは、次にする仕事が違うからです。全部を「要確認」にまとめると、確かめる人がもう一度原因を探すことになります。空欄を推測で埋めさせなければ、根拠のない数字が台帳に入りません。
| 空欄の理由 | 見積書での例 | 次にする仕事 |
|---|---|---|
| 書いていない | 単価の欄が空いている | 仕入先に聞く |
| 読めない | スキャンで数字がつぶれている | 元の書類を取り寄せる |
| 食い違う | 同じ品番に単価が2つある | 新しい版を確かめる |
自社の書類で、AIと人の転記を項目ごとに比べる

A&Aの考え方
試す価値があるかは、機密でない自社の書類で、AIの抽出と人の転記を項目ごとに比べて決めます。全体の正解率だけを見ても、どの項目なら任せられるかは分かりません。
出典に基づく事実
Newfrontも、AIを選ぶ時に自社の題材で試しています。それまでのAIがうまく答えられなかった、保険の中身についての顧客の質問を20件集めました。AnthropicのAIが正しく答えたのは20件のうち12件だった、と事例は書いています。
A&Aの考え方
Newfrontが比べたのは質問への答えで、PDFからの転記ではありません。それでもA&Aは、自社の題材で比べる試し方は転記にも使えると考えます。違うのは、質問ごとではなく、台帳の項目ごとに比べる点です。
A&Aの考え方
試しに使う書類は、機密でないものに限ります。取引先の名前など外に出せない所を伏せた写しなら、本物の形のまま試せます。修正版、スキャンした紙、納期が注記にだけ書いてある書類も混ぜます。きれいな書類だけでは、確かめるのに時間がかかる所が見えないからです。
A&Aの考え方
比べた結果は、1枚の表にまとめ、台帳の項目ごとに行を分けます。列には、項目の名前、AIの値と人の値、AIが値を取ったページ、空欄の理由、AIの値を確かめるのにかかった分を並べます。
A&Aの考え方
AIの値と人の値が違う行は、元の書類を開き、どちらが合っていたかも書きます。
A&Aの考え方
並べると、項目ごとの差が見えます。品番や数量はすぐ確かめられても、注記にだけある納期は、毎回ページを読み直すことになるかもしれません。
確認の時間まで足すと、広げる項目が決まる

A&Aの考え方
続けるかは、AIの値を確かめる時間まで足しても、手で写すより短い項目があるかで決めます。短い項目だけを広げ、ほかの項目は手で写し続けます。
出典に基づく事実
Anthropicは、AIを使う仕組みについて、できるだけ単純なやり方から始めるよう勧めています。複雑にするのは、それで結果が良くなると確かめられた時だけだ、と書いています。
仮想例
先の部品商社で、仮の数字を置いてみます。見積書が月に120件、1件の転記に8分かかるとすると、転記は月に16時間です。AIの後で確かめるのが1件3分なら、確かめる時間は月に6時間です。
仮想例
この仮の数字では、差は月に10時間です。ただ、表で項目ごとに見ると、注記にだけある納期は毎回ページを読み直していて、手で写す方が早いと分かるかもしれません。その時は納期を外し、品番・数量・単価だけを任せます。
A&Aの考え方
空いた時間は、そのままお金にはなりません。見積の返事が早くなって受けられる案件が増えるか、入力の外注や残業を減らせた時に、初めてお金になります。
A&Aの考え方
何か月で元が取れるかは、自社の数字を入れて出します。入れるのは、試す手間を含めた最初の費用、AIの月々の利用料、毎月減らせる外注費か残業代です。最初の費用を、毎月減らせる額から月々の利用料を引いた額で割ると、元が取れるまでの月数になります。減らせる額が利用料より小さければ、元は取れません。
A&Aの考え方
どの項目も手で写すより長くなるなら、今は見送ります。範囲を広げるのは、短い項目が見つかってからです。
まとめ

A&Aの考え方
AIに任せるのは、PDFから台帳への転記だけにし、専門の判断は外します。
A&Aの考え方
抽出した値ごとに、出典のページと空欄の理由を残させます。
A&Aの考え方
機密でない自社の書類で、AIと人の転記を項目ごとに比べます。
A&Aの考え方
確認の時間まで足しても手で写すより短い項目だけを広げ、無ければ見送ります。
PDFのデータ抽出を続けるかは、全体の正解率ではなく、確認の時間まで足した項目ごとの時間で決まります。次に決めるのは、試しに使う機密でない書類と、比べる項目です。
よくある質問
書類の形がそろっていても、AIで試す意味はありますか。
形がそろっているなら、決まった位置の文字を読む読み取りソフト (OCR) で足りることがあります。AIで試す意味が大きいのは、取引先ごとに形が違う書類です。
取引先から届いた書類を、AIに読ませてもよいですか。
試す段階では、機密でない書類か、外に出せない所を伏せた写しを使います。本番で使う前に、取引先と結んだ秘密を守る約束の中身を確かめます。
何件くらいの書類で試せばよいですか。
決まった件数はありません。北米で保険の仲介を手がけるNewfrontは、AIを選ぶ時に、それまでのAIがうまく答えられなかった質問20件で比べています。件数より、取引先ごとの形、修正版、読みにくいスキャンを一通り含めることを優先します。
出典・編集情報
記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。
- Newfront modernizes insurance experiences with Claude
Anthropic · Publication date not stated
確認日 2026-10-24 - Introducing Citations on the Anthropic API
Anthropic · 2025-06-23
確認日 2026-10-24 - Building effective agents
Anthropic · 2024-12-19
確認日 2026-10-24