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AIを組み込んだ新サービス:顧客の初回導入で手伝う範囲と終わり方

本業にAIを組み込んで始めた新サービスの初回導入で止まった顧客と一工程を一緒に通し、手伝う範囲と終わり方を先に決めます。

この記事の要点

  • AIを組み込んだ新サービスの初回導入で止まったら、顧客が操作する一工程を横で見る
  • 初回の工程表で担当を分ける。顧客・同席・今回は提供外の3つ
  • 始める前に、同席の時間の上限と終わる条件を顧客へ渡す
  • 導入を報告するときは、代わりに終えた操作を除き、顧客が出した次の依頼を数える
本業にAIを組み込んで始めた新サービスの初回導入で止まった顧客と一工程を一緒に通し、手伝う範囲と終わり方を先に決めます。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

初回導入で止まったら一工程を横で見る

A&Aの考え方

試用に同意した顧客が初回設定で止まったら、まず一工程だけ、顧客自身に操作してもらいながら横で見ます。ここでの初回導入とは、新サービスの試用に同意した顧客が、最初の一件を実際の仕事で通すまでの準備と設定のことです。

A&Aの考え方

止まった一件について分かっているのは、顧客が試用に同意したことと、まだ使われていないことの2つだけです。その間で止まる理由は1つではありません。資料が社内から出てこない、権限の申請が通らない、画面の用語が自社の呼び方と違う、といった別々の理由が並びます。

A&Aの考え方

AIを組み込んだサービスでは、理由がもう1つ加わります。出てきた結果を社内で使ってよいかを顧客が自分で決められず、そこで止まる場合です。案内の資料を足しても解決しません。

出典に基づく事実

創業間もない会社への出資を続けてきたPaul Grahamは、2013年7月に文章を書いています。その中で、出資先の中でも特に成功した会社として挙げるStripeの、初期の話を紹介しています。その文章によると、遠慮がちな創業者は、相手が試すと言うと「リンクを送ります」と返すものです。

Paul Graham ↗

出典に基づく事実

Stripeの創業者兄弟は、リンクを送って相手が試すのを待ちませんでした。相手が試すと言えば「では、パソコンを貸してください」と言い、その場で設定まで終えたとされています。

Paul Graham ↗

出典に基づく事実

創業間もない会社に少額ずつ出資するY Combinatorは、2018年10月に記事を公開しています。パートナーのGustaf Alströmerが、起業家の質問に答えた記事です。利用者に聞く問いとして、彼は何かを実際にやってもらい、進めながら考えていることを全部口に出してもらう方法を挙げています。

Y Combinator ↗

A&Aの考え方

この記事を書いているAutomate & Augment(A&A)は、2つの話の違いは「誰が操作するか」にあると考えます。Stripeの兄弟は自分で設定を終え、Alströmerの問いでは利用者が操作します。最初の顧客が止まったときには、後者を選びます。

A&Aの考え方

顧客が手を動かしている間にだけ、どの語で迷い、どの画面で戻ったかが見えます。こちらが代わりに入力すれば設定は終わりますが、次の顧客がどこで止まるかは分からないままです。

出典に基づく事実

一方でGrahamは、ネット上の店を営む客の代わりに、自分たちでソフトを使って店を作った経験も書いています。その経験が、客がそのソフトを使うとどう感じるかを教えてくれた、と書いています。

Paul Graham ↗

初回の工程表で担当を分ける

A&Aの考え方

初回の工程表は1枚にし、工程ごとに担当を「顧客がやる」「同席して手伝う」「今回は提供外」の3つから選びます。社内や取締役会にも、そのまま見せられる形にしておきます。

A&Aの考え方

担当は、特に理由がなければ顧客にします。顧客しか持っていない資料や、顧客が自分で繰り返す操作は、最初から顧客の欄に置きます。同席を選ぶのは例外で、選ぶときは理由を書きます。

A&Aの考え方

最初に横で見た一工程は、この工程表の1行になります。そこで顧客がどこで止まるかが分かったら、残りの行の担当も決めます。同席の行は、横で見た1行のほかにも増えることがあります。

A&Aの考え方

「今回は提供外」の行は、少なくとも1行は作ります。提供外が1行も無い工程表は、手伝いに限りが無いのと同じです。

A&Aの考え方

手伝いを終える条件は、顧客の側で確かめられる事実で書きます。「顧客が自分のログインで設定をやり直せた」「顧客が書いた依頼文で1件通った」のように書きます。こちらが終わったと感じたかどうかでは書きません。

仮想例

たとえば、調査の代行を営む会社が、顧客の社内資料をAIで読んで調査レポートを作るサービスを、新しく始めたとします。これは実在の顧客ではない仮の例で、金額も成果も含みません。初回は、この節の後の表のように分けられます。

A&Aの考え方

この1枚があれば、設定の途中で相談が来ても、その場で答える前に、どの行の話かを確かめられます。

A&Aの考え方

表の「AIの結果の確認」の行は、AIを組み込んだサービスで特に要ります。顧客が結果の合否を自分で決められないと、2件目の依頼が出てこないからです。

仮の例:調査レポートを作る新サービスの初回の工程表(実在の顧客ではありません)
初回の工程担当手伝いを終える条件
入力資料の準備顧客がやる(資料は顧客しか持っていない)顧客が2件目の資料を自分で置けた
利用設定同席して手伝う(操作するのは顧客)顧客が自分のログインで設定をやり直せた
最初の依頼顧客がやる(依頼文の書き方だけ助言)顧客が書いた依頼文で1件通った
AIの結果の確認同席して手伝う(合否の理由を言葉にしてもらう)顧客が合否の理由を自分の言葉で言えた
社内の既存システムへの接続今回は提供外今回は手を付けない。要る時に別に相談する

同席の上限と終わる条件を顧客へ渡す

A&Aの考え方

同席すると決めたら、始める前に時間の上限と終わる条件を書き、顧客へ渡します。上限を置くのは、時間を節約するためではありません。超えたときに、やり方を考え直すための線です。

出典に基づく事実

Grahamは同じ文章で、個別に手厚く対応することは、対価を受け取らないうちは安全だと書いています。製品の会社が顧客にただ手厚くしているだけなら、問題を全部解決しなくても顧客はとても感謝する、とも書いています。

Paul Graham ↗

出典に基づく事実

ただし、その手厚さそのものに、時間単位で支払いを受けるようになると、相手は全部やってもらうことを期待する、と続けています。

Paul Graham ↗

A&Aの考え方

A&Aは、同席を無償で始めるときも、範囲と終わり方を先に書いておくべきだと考えます。有償の手伝いに移るときは、なおさら、「全部」を期待される前に範囲を書きます。無償のときも有償のときも、この考えは出典が直接述べたことではありません。

A&Aの考え方

上限の時間に達しても終える条件を満たさないときは、手伝いが足りないわけではありません。工程の分け方か、サービスの仕組みのほうに問題があるという合図です。

A&Aの考え方

そのときに取れる手は、次の3つです。試用に要らない工程なら、その工程を提供外へ移します。誰が操作しても止まる工程なら、工程そのものを作り直します。顧客の側で試用を続ける理由が見えないなら、この顧客への提供をここで止めます。

A&Aの考え方

3つ目の「止める」を、前もって書いておくことが大事です。書いていないと、止める判断が要る場面でも、惰性で手伝いを延ばすことになります。

仮想例

仮の例では、同席するのは「利用設定」と「AIの結果の確認」の2行だけです。上限もこの2行について決め、たとえば合計2時間とします。顧客へ渡す文面は次のようになります。

仮想例

「初回の設定と最初の結果の確認に、合計2時間まで同席します。2時間の時点で、ご自身のログインで設定をやり直せることと、結果の合否をご自身で判断できることを目標にします。届かない場合は、工程の分け方を見直してご相談します。」

導入の報告は、顧客が出した次の依頼を数える

A&Aの考え方

社内や取締役会に新サービスの導入を報告するときは、こちらが代わりに終えた操作は数に入れず、顧客が自分で出した次の依頼を数えます。操作の半分をこちらが行っていれば、言えるのは「この顧客の環境で動く」までです。

A&Aの考え方

数え分けるには、記録の欄を分けておくのが確実です。工程表の各行に、「代わりに行った操作」と「顧客が自分で終えた操作」の2つの欄を足します。翌週に見るのは後者だけです。

出典に基づく事実

Grahamは、利用者が少ないうちは、後で自動にするつもりの作業を手でやって済ませられる場合がある、と書いています。最後に自動にして自分が手を引くときには、自分でやったことを体が覚えているので、何を作ればよいかが正確に分かる、とも書いています。

Paul Graham ↗

A&Aの考え方

A&Aは、手でやった作業が次の手がかりになるのは、何をやったかが記録に残っているときだと考えます。「設定を手伝った」ではなく、「通知先の指定を代わりに行った」まで書きます。2件目、3件目の顧客でも、同じ工程が「代わりに行った操作」の欄に並んだら、そこが直すべき場所です。

仮想例

仮の例の続きです。同席の後、利用設定の行は次のようになったとします。代わりに行った操作は「通知先の指定」、顧客が自分で終えた操作は「ログイン、権限の付与、保存先の指定」です。

仮想例

このとき翌週に見るのは、顧客が自分で2件目の依頼を出したかどうかです。出ていれば、次に話すのは続けて使う条件です。

仮想例

出ていなければ、ログインと権限の付与は顧客が自分で済ませているので、設定で止まったという理由は外せます。残るのは、「その業務が今週なかった」「出し方を忘れた」「結果を社内で使ってよいか決められない」のような、設定の後の理由です。

A&Aの考え方

2つの欄を混ぜて「導入1件」と書くと、この絞り込みができません。社内や取締役会に出す1枚にも、2つの欄を分けたまま載せます。

まとめ

A&Aの考え方

AIを組み込んだ新サービスの初回導入で止まった顧客とは、一工程だけ、顧客の操作を横で見ます。

A&Aの考え方

初回の工程表で、各工程の担当を顧客・同席・今回は提供外に分けます。

A&Aの考え方

同席の時間の上限と終わる条件は、始める前に顧客へ渡します。

A&Aの考え方

導入を報告するときは、代わりに終えた操作を除き、顧客が自分で出した次の依頼を数えます。

AIを組み込んだ新サービスの初回導入では、顧客が操作する一工程を横で見てから、工程表で担当と提供外の線を決め、同席の上限と終わる条件を先に渡します。次に決めるのは、1件目に実際にかかった時間をもとにした、2件目の同席の上限です。

よくある質問

すでに自分で設定できる顧客にも同席しますか。

同席しません。同席は、初回設定で止まった顧客に限ります。顧客の同意や権限が整っていない操作も、代わりには行いません。

同席の時間の上限に目安はありますか。

一律の目安はありません。ここで引いた2つの出典は、どちらも創業間もない会社への助言で、継続率や売上への効果を測った資料ではないからです。1件目に実際にかかった時間を、2件目の上限の出発点にします。

初回に顧客へ何を返すかも、この工程表で決めますか。

決めません。この記事が扱うのは、初回設定で誰が操作し、手伝いをどこで終えるかです。初回に返すものは、別の記事「新規事業のAI文章サービス:初回体験は下書きへの指摘1つで作る」で扱っています。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. Do Things that Don't Scale

    Paul Graham · July 2013

    確認日 2026-10-27
  2. Growth AMA with YC Partner Gustaf Alströmer

    Y Combinator · 2018-10-29

    確認日 2026-10-27

編集方針

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