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AIへの依頼文の書き方:任せる判断と人に戻す判断を分ける

AIへの依頼文には、作業の手順より先に、AIに任せる判断と人に戻す判断の境目を書きます。

この記事の要点

  • 依頼文には、AIが調べる手順より先に目的と許す操作を書く
  • 連絡・発注・非公開の情報が要る所で止める条件を書く
  • 頼む前に受け取る条件を書く。結果の表には根拠と未確認の欄を残させる
  • 次の依頼には、決めた理由と見直す条件を渡す
AIへの依頼文には、作業の手順より先に、AIに任せる判断と人に戻す判断の境目を書きます。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

依頼文には、手順より目的と許す操作を書く

A&Aの考え方

AIに仕事を頼むときは、調べる手順を細かく書くより先に、何のための仕事かと、AIに許す操作を書きます。ここでいう依頼文とは、AIに1件の仕事を渡すときに、目的・許す操作・止める条件・受け取る条件の4つを書いた短い文のことです。

A&Aの考え方

調べものをAIに頼むと、確認の質問が何度も返ってきたり、頼んでいない所まで進められたりします。任せる範囲は頭の中で決めていても、依頼文にその境目が書かれていないと、こうした確認と手直しが増えます。

出典に基づく事実

Anthropicは、道具を使いながら自分で作業を進めるAIの作り手に向けた技術記事で、AIへの指示がはまりやすい失敗を2つ挙げています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

1つは、細かい条件分岐を書き込みすぎて、壊れやすく直しにくい指示になることです。もう1つは、具体的な手がかりがなく、相手と共有していない前提を当てにした指示になることです。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

ちょうどよい指示は、AIのふるまいを導けるくらいには具体的で、AIが自分で判断する余地も残したもの、とされています。渡す情報を必要な分だけに絞ることは、必ずしも短く書くことではない、とも書かれています。

Anthropic ↗

進行役が公開資料を表にまとめる柵の内側で作業し、経営者が柵の外から許す操作の範囲を整える場面

A&Aの考え方

この記事を書いている Automate & Augment (A&A) は、これを社長が書く1件の依頼文に当てはめて読みます。調べ方の手順はAIに任せ、目的と許す操作ははっきり書く、という分け方です。手順を細かく書くほど依頼文は長くなりますが、「どこまでやってよいか」はかえって抜けやすくなります。

仮想例

たとえば、会社のサイトの保守を頼む外注先を探すとします。目的は「外注先を調べる」ではなく、「面談する候補の順番を決める材料をそろえる」と書きます。許す操作は、公開されている資料を読んで表にまとめるところまでです。

仮想例

最後に決めるのが発注ではなく面談の順番だと書いておけば、AIが途中で見積もりを頼みに行く余地が減ります。

止める条件を書くと、責任が変わる判断が人に戻る

A&Aの考え方

依頼文に止める条件を書いておくと、社長が決める判断の手前でAIが作業を止め、その判断が人に戻ります。止める条件とは、本来は社長が決める判断を、AIが代わりに決めてしまう場面の一覧です。

A&Aの考え方

線を引くのは、外部への連絡、発注や支払い、公開されていない情報が要る場面です。資料を読む許可と、他社に連絡する許可は別の許可です。依頼文に書いていなければ、AIは目的に近づこうとして、問い合わせフォームを送るかもしれません。

出典に基づく事実

Anthropicの評価についての記事は、仕様書の読み方の違いにも触れています。同じ仕様書を読んだ2人の技術者でも、例外の場面をAIがどう扱うかについて読み方が分かれることがある、とされています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&A は、依頼する社長とAIの間でも同じことが起きると考えます。止める条件は、その例外の場面を先に書き出しておく欄です。

仮想例

外注先の例では、止める条件を2つ書きます。1つは「料金や対応範囲が公開されていない候補は、推測で埋めずに、面談で聞く質問の案にして返す」です。もう1つは「問い合わせや見積もりの依頼はしない」です。

仮想例

こう書けば、AIは料金の載っていない候補を推測の金額で順位付けせず、面談で確かめる質問に変えて返してきます。

A&Aの考え方

一方で、止める条件を増やしすぎると、AIは毎回確認を求め、頼んだ意味が薄れます。公開資料を読むたびに許可を取らせる必要はありません。止めるのは、連絡や発注のように社外に影響が出る場面と、推測で空欄を埋めるように根拠のない値が結果に混ざる場面だけです。

A&Aの考え方

止めたときに返すものも決めておきます。止めた理由と、人が決めればそこから先へ進める問いを、AIに返させます。そうすれば、社長は判断だけをすれば済みます。

外注先探しの依頼で、AIに任せることと人に戻すこと
場面扱い依頼文に書くこと
調べ方の手順AIに任せる目的と許す操作だけを書き、手順は書き込まない
公開資料を読んで表にまとめるAIに任せる読むたびの許可は求めさせない
料金や対応範囲が公開されていない候補人に戻す推測で埋めず、面談で聞く質問の案にして返させる
問い合わせや見積もりの依頼人に戻すしない、と止める条件に書く
発注や支払い人に戻す止めた理由と、人が決めれば先へ進める問いを返させる

頼む前に、結果を受け取る条件を書く

A&Aの考え方

返ってきた結果を受け取る条件は、作業を頼む前に依頼文へ書きます。受け取る条件とは、結果のどこを見れば「この仕事は終わった」と言えるかの一覧です。

出典に基づく事実

Anthropicの評価についての記事は、AIとのやりとりの記録と、作業が終わった後の実際の状態を分けて扱っています。航空券を予約するAIが「予約しました」と言うことと、予約が実際にあることは別だ、という例を挙げています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

AIの出来を試すために出す課題については、2人の専門家が別々に見ても同じ合否を出せるものが良い課題だ、とされています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

調べものをするAIの出来は、頼んだ仕事に照らしてしか判断できない、とも書かれています。確かめ方の1つとして、主張が出典に支えられているかを見る方法などを挙げています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&A はこれを、受け取る条件は「別の人が見ても同じ合否になる」形で書く、という意味に読みます。

仮想例

外注先の例なら、受け取る条件は4つです。全候補に同じ比較項目があること、項目ごとに根拠のURLがあること、未確認の欄が消されていないこと、許していない連絡をしていないことです。

受け取る条件4つのうち満たしていない1つだけを、経営者が指して候補を進行役へ返す場面

A&Aの考え方

もっともらしい順位が付いているかだけで受け取ると、推測で埋めた表を見逃します。順位の案を見ることと、その根拠を確かめることは、分けて行います。

仮想例

直しを頼むときも、全部やり直させず、満たしていない条件だけを指して返します。たとえば「候補Bだけ対応地域の根拠がない。未確認の欄に移すか、公開資料で補う」と返します。

A&Aの考え方

受け取る条件が先に書いてあれば、確かめる人が社長から業務委託の人に替わっても、同じ見方で受け取れます。

次の依頼には、決めた理由と見直す条件を渡す

A&Aの考え方

結果を受け取って何かを決めたら、次の依頼には、決めた理由と見直す条件を渡します。前回のやりとりを全部渡すより、判断に要る所だけを渡す方が、AIは次の仕事に集中できます。

出典に基づく事実

AIの作り手に向けたAnthropicの技術記事は、AIが一度に読める情報の量を、限りある資源として扱うよう書いています。Claude Codeは、長い会話を要約し直すときに、設計上の決定や未解決の不具合を残し、重複した出力を捨てる、と書かれています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

一方で、要約しすぎると、後になって大事だと分かる細かな情報を失うことがある、とも書いています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&A は、次の依頼に渡すものを、これと同じ考え方で選びます。外注先の例なら、「対応地域が公開資料で確かめられる候補を先にした。保守の範囲が合わなければ順番を見直す」という2文です。

A&Aの考え方

前回のやりとりを全部渡さないのは、AIが一度に読める量に限りがあるからです。比べた候補の細かな記録まで渡すと、次の仕事に要る2文がその中に埋もれます。要約し直すときに決定と未解決の点を残すのと同じく、外注先の例で残すのは、決めた順番と、順番を変えうる保守の範囲です。

A&Aの考え方

決めた理由だけを渡すと、前回の結論が動かせない決まりのように扱われます。見直す条件も一緒に渡せば、同じ議論の繰り返しを避けながら、必要な見直しはできます。

A&Aの考え方

渡すものに迷ったら、見直す条件が書けるかで確かめます。見直す条件が書けない決定は、理由がまだはっきりしていません。

A&Aの考え方

前回のやりとりの記録は消さずに手元に残し、見直す条件に当たったときに読み返します。次の依頼が「上位2社との面談で聞く質問を作る」なら、渡すのはこの2文と候補表です。

まとめ

経営者が目的と止める所を書いた依頼の札を進行役へ渡し、進行役が調べを進めて止める所で待つ場面

A&Aの考え方

依頼文には、AIが調べる手順より先に、目的と許す操作を書きます。外部への連絡・発注・非公開の情報が要る所は、止める条件として人に戻させます。

A&Aの考え方

受け取る条件は頼む前に書き、結果の表には根拠と未確認の欄を残させます。次の依頼には、決めた理由と見直す条件を一緒に渡します。

AIへの依頼文で先に決めるのは、手順ではなく、AIに任せる判断と人に戻す判断の境目です。次に決めるのは、今AIに頼んでいる仕事のどこで、外部への連絡・発注・非公開の情報を止める条件にするかです。

よくある質問

手順を細かく書いた方がよい仕事はありますか。

あります。毎月の集計のように毎回同じ形の結果が要る仕事や、手順そのものが社内の決まりになっている仕事は、手順を書く方が結果がそろいます。この書き方が向くのは、調べものや比較のように、調べ方をAIに任せられる仕事です。

資料が多いときは、AIを読む係と比べる係に分けた方がよいですか。

資料が多いときだけ分け、少ないときは1つのAIに任せます。AIの作り手に向けたAnthropicの技術記事は、仕事を分けて受け取ったAIが多くを調べても、元のAIに返すのは要約だと説明しています。分けるなら、要約で除外条件や未確認の点が落ちないよう、返す項目を依頼文で決めておきます。

会社の情報や前提も、毎回の依頼文に書くのですか。

毎回同じ会社の情報は依頼文に書かず、別に置いて渡します。置き方は、別の記事「AIに毎回同じ説明をしない:会社の情報は3つに分けて渡す」で扱いました。依頼文には、その1件で変わる目的・許す操作・止める条件・受け取る条件だけを書きます。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. Effective context engineering for AI agents

    Anthropic · 2025-09-29

    確認日 2026-10-24
  2. Demystifying evals for AI agents

    Anthropic · 2026-01-09

    確認日 2026-10-24

編集方針

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