AIに任せる仕事と人が決める仕事:承認を置く3つの位置で分ける
AIに任せるかは業務ごとの二択でなく、工程ごとに人の承認をどこに置くかで決めます。
この記事の要点
- 営業対応を4工程に分け、集める・案を作る所からAIに任せる
- AIが動く前・送る前・送った後の3か所から、人の承認の場所を選ぶ
- 社内ニュースは慣れたら送った後に確かめ、顧客に出す条件は送る前に人が決める
- 工程・AIの担当・人の担当・止める条件の4列で、分担を1枚の表に残す

目次
営業対応は、集める・案を作る・決める・送るに分ける

A&Aの考え方
AIに任せるかどうかは、業務を丸ごとではなく、工程ごとに決めます。ここで言う工程とは、集める・案を作る・決める・送るのように、一つの業務の中にある行為のことです。
A&Aの考え方
「営業対応」のような業務名のままだと、性質の違う行為が一つに見えます。その名前のまま「AIに任せるか」を問うと、任せるか、やめるかの二択になります。
仮想例
たとえば、問い合わせに見積もりを返す仕事を分けてみます。問い合わせの文から品目や数量などの条件を集め、過去の見積もりと比べて案を作り、値引きや納期を決め、顧客に送る、の4工程になります。
A&Aの考え方
このうち「集める」と「案を作る」は、間違えても社内で直せます。「決める」と「送る」は、その結果を顧客が受け取ります。同じ業務の中でも、誤ったときに困る人が違います。
出典に基づく事実
AIを開発する米国の会社Anthropicは、2024年12月に、AIを使う仕組みの作り方を開発者向けに解説しています。できるだけ簡単なやり方から始め、必要なときだけ複雑にするよう勧めています。
A&Aの考え方
この記事を書いているAutomate & Augment (A&A) は、この「簡単なやり方から始める」という勧めを、業務全体を任せるかどうかの二択にしなくてよい理由と読みます。まず「集める」「案を作る」の2工程をAIに任せ、「決める」「送る」は人に残す、という中間を選べます。
人の承認は、AIが動く前・送る前・送った後から選ぶ

A&Aの考え方
人の承認を置ける場所は、AIが動く前・送る前・送った後の3か所です。会社全体で1つを選ぶのではなく、工程ごとに選びます。
A&Aの考え方
AIが動く前の承認は、使ってよい価格表や文面の型、してはいけないことを、先に決めておく形です。毎回同じ条件で済む工程に向きます。条件が変わったら止めて、人に戻す決まりも要ります。
A&Aの考え方
送る前の承認は、今回の中身を人が見てから外に出す形です。担当者が休む日の代わりの承認者と、承認を待つ間の扱いも決めておきます。
A&Aの考え方
送った後の確認は、送った物の中から何件かを、担当者が後で選んで見る形です。誤りを後から直せる工程にだけ使えます。
出典に基づく事実
Anthropicは2025年8月に、AIに仕事を任せる仕組みを作るときの考え方をまとめた文書を公開しています。自社で出しているAIの道具は、最初は読むだけで何も変えない設定で動き、何かを変える前には人の承認を求める作りだと説明しています。
A&Aの考え方
A&Aは、何かを変える前に毎回求める承認が「送る前」の承認に、先に出しておく許可が「AIが動く前」の承認に当たると読みます。
出典に基づく事実
Anthropicは2026年1月に、AIが頼まれた仕事を本当に終えたかを確かめる方法も、開発者向けに解説しています。飛行機を予約するAIが「予約しました」と答えても、結果として見るのは、予約が実際に入っているかどうかだと書いています。
A&Aの考え方
送った後に確かめるときも、AIの「送りました」という報告ではなく、相手に届いた中身を見ます。
同じ「送る」でも、社内と顧客で承認の場所は変わる

A&Aの考え方
同じ「送る」でも、相手がその中身を前提に動くかどうかで、承認の場所が変わります。社内へのニュース共有と、顧客への条件提示を比べます。
仮想例
たとえば、業界ニュースを毎朝、社内のチャットに流す仕事があるとします。AIが記事を集め、重複を除き、候補を並べます。担当者は共有先と選び方を決め、最初の数週間は中身を見てから送ります。
仮想例
リンクを間違えても、訂正を流せば直せます。社外に出せない情報を混ぜない決まりを置けば、送った後に何件かを選んで確かめる形へ移せます。
仮想例
一方、問い合わせに見積もりの条件を返す仕事では、AIが依頼文を整理し、価格表から案を作ります。ここまでは社内ニュースと同じです。
仮想例
ただ、値引きや納期は、顧客がその数字を前提に社内で話を進めます。送ってから直すと、相手の手間が増え、信頼も損ないます。そこで値引きと納期は、送る前に責任者が決めます。

出典に基づく事実
Anthropicの2025年8月の文書は、AIが自分で動けることに価値があるとしています。そのうえで、影響の大きい判断の前には、人が主導権を持ち続けることが要ると書いています。
出典に基づく事実
例として、経費を管理するAIが、ソフトの月額契約に払いすぎていると気づく場面を挙げています。AIが解約や安いプランへの変更を始める前に、その会社はおそらく人の承認を求める、と書いています。
A&Aの考え方
A&Aは、承認の場所を分ける目安は2つだと考えます。1つは、相手がその中身を前提に動くか。もう1つは、誤りを後から直せるかです。
A&Aの考え方
社内向けだから全部任せてよい、とはなりません。営業が見積もりに使う社内の価格表を更新するときは、社内向けでも、顧客向けと同じく反映する前に人が決めます。
分担は、止める条件まで1枚の表に残す

A&Aの考え方
決めた分担は、工程・AIの担当・人の担当・止める条件の4列を持つ、1枚の表に残します。「AIが返信する」ではなく、「AIが返信の案を作り、責任者が値引きを決め、担当者が送る」と書き分けます。
仮想例
たとえば問い合わせへの見積もりなら、条件を集めるのと案を作るのはAI、値引きと納期を決めるのは責任者、送るのは担当者、と4行に書きます。
出典に基づく事実
Anthropicの2024年12月の解説は、AIが途中で止まって、人の判断を求める形にも触れています。決めておいた区切りで止まる形や、行き詰まったときに止まる形です。
A&Aの考え方
A&Aは、この止まる所を、表の「止める条件」の列に書くと読みます。止める条件が書けない工程は、まだAIに任せる段階ではありません。
仮想例
たとえば見積もりの案なら、「価格表に無い品目が出たら、案を作らずに担当者へ戻す」と書きます。
A&Aの考え方
任せ方を変えるときは、同じ種類の問い合わせで、人だけでやった場合と、AIの案を人が直した場合を比べます。下書きの時間だけでなく、確かめる時間と直す時間も足します。
A&Aの考え方
担当者が毎回ほとんど書き直すなら、AIに任せる範囲を狭めます。承認を外すときは、外した理由を表に書き残します。
A&Aの考え方
表があれば、次にAIへ任せる範囲を広げるときも、誰の判断がどこへ移るかで話し合えます。
まとめ

A&Aの考え方
営業対応は4工程に分け、まず「集める」「案を作る」の2工程をAIに任せます。人の承認は、AIが動く前・送る前・送った後の3か所から、工程ごとに選びます。
A&Aの考え方
社内ニュースは送った後に確かめる形にでき、顧客への値引きや納期は送る前に人が決めます。分担は、止める条件まで1枚の表に残します。
AIに任せるかは業務ごとの二択でなく、工程ごとに人の承認をどこに置くかで決めます。相手がその中身を前提に動くか、誤りを後から直せるかで承認の場所を選び、分担は止める条件まで1枚の表に残します。
よくある質問
承認を残すと、AIを使う意味が薄れませんか。
人が見るのは、決める・送るの工程だけです。集める・案を作る手間はAIに移せるので、承認を残してもAIを使う意味はあります。
ChatGPTだけでも、この分け方は使えますか。
使えます。案を作る所までをChatGPTに頼み、決める・送るを人がやれば、送る前に承認を置いた形になります。
最初は、どの業務からAIに任せればよいですか。
結果の良し悪しを自分で判定できる1業務からです。選び方は『中小企業のAIは何から始める?自分で良し悪しが分かる1業務から』で扱っています。
出典・編集情報
記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。
- Building effective agents
Anthropic · 2024-12-19
確認日 2026-10-22 - Our framework for developing safe and trustworthy agents
Anthropic · 2025-08-04
確認日 2026-10-22 - Demystifying evals for AI agents
Anthropic · 2026-01-09
確認日 2026-10-22