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中小企業のAIは何から始める?自分で良し悪しが分かる1業務から

最初にAIに任せる仕事は、自分で良し悪しを判定できる1業務から選ぶと、試した結果で続けるかどうかを決められます。

この記事の要点

  • 先に、AIで変えたいことを1行で書く(例:提案までの日数を縮める)
  • 候補は、提案書の下書きのように良し悪しを自分で判定できる仕事に絞る
  • 同じ商談メモで数回試し、今のやり方と、AIの出力を直す手間まで含めて比べる
  • 続ける・変える・見送るは、空いた時間でなく1行の目的に近づいたかで決める
最初にAIに任せる仕事は、自分で良し悪しを判定できる1業務から選ぶと、試した結果で続けるかどうかを決められます。
この記事の要点を図にしたものです。
目次

先に、AIで変えたいことを1行で書く

A&Aの考え方

ここで言う最初の1業務とは、AIに下書きや整理を任せ、その結果を社内の人が確かめて使う、最初の1つの仕事のことです。選ぶ前に、その仕事で何を変えたいかを1行で書きます。たとえば「商談のあと、提案を出すまでの日数を縮めたい」のような1行です。

出典に基づく事実

AIを使う前に何を決めておくかは、公的な手引きにも書かれています。米国政府の研究機関である国立標準技術研究所は、AIのリスクを管理するための手引きを公開しています。

NIST ↗

出典に基づく事実

この手引きには、AIを使うことで事業にどんな価値があるのか、どんな場面で使うのかを、はっきり決めておく項目があります。手引きは2023年版で、今は改訂版を作っていると公開ページに書かれています。

NIST ↗

A&Aの考え方

この記事を書いているAutomate & Augment (A&A) は、商談が生まれる仕組みを会社の中に持つことを手伝っている会社です。

A&Aの考え方

価値と使う場面を決めるこの作業は、小さな会社なら1行の目的を書けば足りる、とA&Aは考えます。先の「提案を出すまでの日数を縮めたい」のほか、「既存のお客様に、新しいサービスの案内を早く出したい」でも構いません。

経営者が「AIで変えたいこと」の一行を板に留め、進行役が二つの候補の仕事のうち一行につながる方を当てて確かめる場面

A&Aの考え方

一方で「AIで効率化したい」は、1行の目的になりません。何が、どう良くなればよいのかが書かれていないからです。1行が無いまま試すと、AIの出力がよく見えても、それで何が良くなったのかを言えません。

A&Aの考え方

1行があると、同じ「議事録をAIで作る」でも、やることが分かれます。議事録そのものが欲しいのか、その後の提案を早く出したいのかで、試す仕事も、うまくいったかの見方も変わります。

A&Aの考え方

営業で伸びたい会社なら、商談の前後にある仕事について1行を書くと、あとで営業代行や採用の費用と比べやすくなります。

候補は、良し悪しを自分で判定できる仕事に絞る

A&Aの考え方

1行を書いたら、それにつながる仕事を挙げ、結果の良し悪しを自分で判定できる仕事に絞ります。

出典に基づく事実

候補を挙げる時は、AIのよくある使い道をまとめた公的な一覧が使えます。デジタル化を進める国の独立行政法人、情報処理推進機構の一覧で、問い合わせ対応、会議録の作成や要約、文書の作成や確認などを挙げています。

IPA ↗

A&Aの考え方

ただ、この一覧は候補を出すための材料です。どれが自社の最初の1業務に合うかまでは決めてくれない、とA&Aは考えます。そこで、絞るための基準を、AIを作る側の考え方から借ります。

出典に基づく事実

AIを開発する米国の会社Anthropicは、2026年1月に、AIの出来を確かめる試験の作り方を、開発者向けに解説しています。

Anthropic ↗

出典に基づく事実

よい試験問題とは、その分野にくわしい2人が別々に見ても、合格か不合格かの判断がそろうものだと書いています。問題ごとに、うまくいった答えの見本を用意しておくと役立つ、とも書いています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

これはAIを作る側の話です。それでも、結果をどう判定するかは、AIを使う側にもそのまま関わります。A&Aは、この考え方を、小さな会社が最初の1業務を選ぶ時にも当てはめます。

A&Aの考え方

社長が自分で「これなら使える」「これは直しが要る」と言い切れる仕事なら、AIの結果を判定できます。過去にうまくいった提案書があれば、それがそのまま見本になります。

A&Aの考え方

議事録の要約のように、AIが得意で失敗の少ない仕事から始める考え方もあります。始めやすいのは確かです。ただ、1行から遠い仕事だと、うまくいっても続ける理由が見つかりません。

仮想例

たとえば、営業で伸びたい会社が候補を3つ並べると、次のようになります。考え方を示す仮の例です。

最初の1業務の候補を3つ並べた例 (仮の例)
候補の仕事1行とのつながり自分で判定できるか・見本があるか
商談メモから提案書の下書きを作る提案までの日数に直結する社長が数分で判定できる。過去の提案書がある
問い合わせへの最初の返信商談の入口になる返す内容が人によって変わりやすい。返信の例が散らばっている
社内会議の議事録1行から遠いことがある判定しやすい。決まった形がある

数回試し、直す手間まで含めて今のやり方と比べる

A&Aの考え方

選んだ1業務は、同じ商談メモや資料で数回試し、AIの出力を直す手間まで含めて、今のやり方と比べます。

出典に基づく事実

先の解説でAnthropicは、AIの出力は実行するたびに変わるので、同じ問題を何回か試していると書いています。試験問題は、開発の中でふだん人が手で確かめている点から作り始めるとよい、とも書いています。

Anthropic ↗

A&Aの考え方

A&Aは、小さな会社がAIを試す時にも、同じ考え方が使えると考えます。1回うまくいった結果だけで決めると、たまたま良かった回を見ている恐れがあります。

仮想例

たとえば、商談のあとの提案書の下書きをAIに作らせるとします。材料は、過去の商談メモから5件選びます。そのうち1件は、わざと情報が足りないメモにします。AIが足りない所を勝手に埋めないかを見るためです。実際の商談メモも、いつもそろっているとは限りません。

仮想例

判定するのは、ふだん提案を書いている社長本人です。比べる項目は次の4つです。

仮想例

必要な情報がそろっているか

仮想例

メモに無い条件や金額を足していないか

仮想例

直す時間を含めて、今より早いか

仮想例

次に読む人が、そのまま使えるか

仮想例

今のやり方にかかる時間も、同じ5件で測っておきます。比べる相手が無いと、早くなったかを言えません。

A&Aの考え方

比べる時間には、AIが文章を出すまでの時間だけを入れるのではありません。商談メモなどの材料を集める時間、確かめる時間、書き直す時間も入れます。AIの出力が速くても、直す手間が今より大きければ、その仕事は最初の1業務に向いていません。

続けるかは、空いた時間でなく1行の目的で決める

A&Aの考え方

試した後に続けるかは、空いた時間の長さではなく、最初に書いた1行に近づいたかで決めます。

A&Aの考え方

空いた時間は、そのままではお金になりません。空いた時間で提案を早く出せたか、新しい商談に時間を回せたかを見て、初めて営業代行や採用の費用と並べられます。

仮想例

仮の数字で考えます。提案書の下書きづくりに1件3時間かかり、月に8件あるとします。AIの下書きを使い、確かめと直しを含めて1件1時間半になれば、月に12時間が空きます。この12時間で、提案を出すまでの日数が縮んだかを見ます。これは計算の形を示す仮の例で、実際の時間は仕事によって変わります。

A&Aの考え方

営業代行の費用と比べる時も、月の支払い額どうしを並べるのではありません。営業代行で得ている商談の数と、AIを使って増えた商談の数や縮んだ日数を並べます。

A&Aの考え方

判断は、続ける・変える・見送るの3つに分かれます。1行に近づいたなら、同じ仕事で使う商談メモの種類を増やして続けます。直しが多いなら、材料が足りないのか、頼み方があいまいなのか、任せる範囲が広すぎるのかを分けて見直します。直す手間が減らず、1行にも近づかないなら、今は見送ります。

A&Aの考え方

見送った場合も、どの仕事にAIが合わないかが分かります。それが次の1業務を選ぶ材料になります。

A&Aの考え方

A&Aは、営業代行でアポ(商談の約束)を買うのではなく、アポが生まれる仕組みを自社に持つことを手伝っています。商談の前後にある1業務をAIで回せるようにすることは、その仕組みの最初の部品になると考えています。

まとめ

経営者が候補の仕事から最初の1業務を選んで「AIで変えたいこと」を1行書き、進行役がその1枚を待つ場面

A&Aの考え方

先に、AIで変えたいことを1行で書く(例:提案までの日数を縮める)

A&Aの考え方

候補は、提案書の下書きのように良し悪しを自分で判定できる仕事に絞る

A&Aの考え方

同じ商談メモで数回試し、今のやり方と、AIの出力を直す手間まで含めて比べる

A&Aの考え方

続ける・変える・見送るは、空いた時間でなく1行の目的に近づいたかで決める

最初の1業務は、変えたいことの1行につながり、結果の良し悪しを自分で判定できる仕事から選びます。同じ材料で数回試し、直す手間まで含めて今のやり方と比べれば、続けるか、変えるか、見送るかを1行の目的で決められます。見送った場合も、どの仕事にAIが合わないかが分かり、次の1業務を選ぶ材料になります。

よくある質問

ChatGPTを少し触っただけでも、最初の1業務を選べますか。

選べます。選ぶのに要るのは、AIの知識より、自社の仕事で何がうまくいった結果かを知っていることです。

顧客名や金額が入った資料を、最初から使ってもよいですか。

最初は、名前や金額を伏せた材料で試せる仕事を選ぶ方が安全です。実際の情報を入れるかは、使うAIのサービスが入力した情報をどう扱うかと、社内の決まりを確かめてから決めます。

社長が判定する形だと、社長の時間がかえって減りませんか。

最初の数回は、社長の時間を使います。判定の基準と見本がそろえば、確かめる役を担当者に渡せます。

出典・編集情報

記事の調査で確認した一次資料です。資料の公開・更新時期と、調査時の確認日を分けて記載しています。

  1. AI RMF Core

    NIST · 2023 (AI RMF 1.0; revision in progress)

    確認日 2026-10-21
  2. AIの利活用、AIによるDXの推進

    IPA · 2023-12-20; updated 2026-09-11

    確認日 2026-10-21
  3. Demystifying evals for AI agents

    Anthropic · 2026-01-09

    確認日 2026-10-21

編集方針

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